不機嫌なマカロン 暦の上では秋になったという知らせを聞いた朝。昨日は夜まで雨が降っていたこともあり、多少は涼しいだろうと思っていたが、日が高くなった頃いざ外へ出れば、日差しは強くどう考えても夏のそれでしかない。ピクセルアートのイカマークが縫われたキャップを深く被り直し、日陰からステージを見下ろす。背後を学生が颯爽と通り、生ぬるい風がキリュウの袖口を揺らした。
今日は、フレンドのコウにナワバリ誘われていた。リーグマッチの時間までなら、とそれを承諾して、ここ海女美術大学に来ている。ナワバリバトルのステージとして一部を解放すると共に、その周辺も見学場所として自由に入ることができるのである。キリュウは合流する前に見学をすることが多く、今もコウと、幼なじみのサキが参加するバトルを眺めているところであった。
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