冷たい手足でもあたたかくて小さな幸せ俺の手足は冷たくて硬い作り物。
けれども、こんな俺と一緒に笑ったり、泣いたりしてくれる人がいる。
一緒に紅茶を入れて、いろいろな話をしてくれる人がいる。
だから、傷つけないように、俺のせいで痛い思いをしないように、少しずつ工夫して、その人の思いに応えることにした。
手を取って、握ってくれる時は、その手を自分の頬に持っていく。初めは驚かれたけれど、すぐに慣れてくれた。
俺の手では、手のぬくもりは分からないから、頬で『俺は生きています』と伝えて、頬でこの人を感じ取る。
抱きしめる時は、なるべく腕を使って、上半身をくっ付ける。手の力加減が難しいから、手の力は抜く。
こうすると、この人の心臓の音がしっかり聞こえるし、手で傷つけなくてすむからだ。
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