ailout2
TRAININGサリアとウェドさん初邂逅「こんにちは、お兄さん」
ふー、と大きく吐き出した煙のカーテンの向こう、一人の女性が小首を傾げこちらに微笑みかけている。
お気に入りの場所"アンカーヤード"でひとり座り一服していたウェドは煙草の火を消すと女性に一瞥をくれる。
幼さの残る輪郭にふわりとかかるブルーグレーの髪が陽に透けて白い肌を際立たせている。幼さとは裏腹に表情はどこか大人びた印象を受けた。
ここら辺では見掛けた事の無い女性だ。
「やぁ」
「隣、いいかしら」
テッドという大切な人が出来、求められるまま誰彼構わず抱くのを止めて以来女性が意味ありげに近付いてくるという事も随分と減ったものだが、旅人やリムサ外の冒険者などウェドの事をよく知らない女性からは今でも度々あることだった。
2473ふー、と大きく吐き出した煙のカーテンの向こう、一人の女性が小首を傾げこちらに微笑みかけている。
お気に入りの場所"アンカーヤード"でひとり座り一服していたウェドは煙草の火を消すと女性に一瞥をくれる。
幼さの残る輪郭にふわりとかかるブルーグレーの髪が陽に透けて白い肌を際立たせている。幼さとは裏腹に表情はどこか大人びた印象を受けた。
ここら辺では見掛けた事の無い女性だ。
「やぁ」
「隣、いいかしら」
テッドという大切な人が出来、求められるまま誰彼構わず抱くのを止めて以来女性が意味ありげに近付いてくるという事も随分と減ったものだが、旅人やリムサ外の冒険者などウェドの事をよく知らない女性からは今でも度々あることだった。
Ydnasxdew
MEMO時間軸めちゃくちゃ飛んでるやつCalling潮騒を遠くに聴きながら、ウェドは灯りもつけずに床板の継目を見つめていた。
「……」
深く、大きく、息を吐く。苛立ちと焦燥が胸を押し潰していくようで、気を落ち着かせようと火をつけた煙草を持つ手が震える。あの時アルダシアに持ちかけられた話が、今もずっとウェドの頭の中を巡っていた。
『取引をしようじゃないか、ディアスくん。なに、お前の大事なテッドをどうこうしようって言うんじゃない。そう怖い顔をするな…』
*****
「…何が取引、だ。まさかお前の言うことをこの俺が信用すると思っているわけじゃないだろ」
「するさ、今回ばかりはな。…情報をやる。だからお前の力を貸せ、ウェド」
「気安く呼ぶな。誰がお前の手駒になどなるものか」
1384「……」
深く、大きく、息を吐く。苛立ちと焦燥が胸を押し潰していくようで、気を落ち着かせようと火をつけた煙草を持つ手が震える。あの時アルダシアに持ちかけられた話が、今もずっとウェドの頭の中を巡っていた。
『取引をしようじゃないか、ディアスくん。なに、お前の大事なテッドをどうこうしようって言うんじゃない。そう怖い顔をするな…』
*****
「…何が取引、だ。まさかお前の言うことをこの俺が信用すると思っているわけじゃないだろ」
「するさ、今回ばかりはな。…情報をやる。だからお前の力を貸せ、ウェド」
「気安く呼ぶな。誰がお前の手駒になどなるものか」
ailout2
TRAINING※ウェドさんが故郷で異形化を見ていたことにはまだ気が付いてないテッドくん※バデロンさん出ます!
潮騒:前編ここの所、リムサ・ロミンサの冒険者の間ではひとつの噂話が持ち上がっていた。
冒険者同士の噂話など大して珍しいものではないが、その噂はイエロージャケットの司令がギルドを通じて「腕利きの冒険者」を探しているというものだった。
ギルドに集う冒険者は皆それなりに腕の立つ者も多い。噂が本当ならば大きな仕事になるだろと皆、我こそはと思い思いに武勇伝を語り噂が噂を呼んでいた。
噂によると近頃エールポートからほど近い幻影諸島周辺で不審船の目撃が相次ぎ、イエロージャケットが慌ただしく調査していた件が関係あるという。
つい先日、俺もウェドと彼の友人たちと海賊崩れのならず者が麻薬の密売をしている所を暴いた事件があった。
件の不審船もこの密売船だったのだろう。密売の手引きをした主犯であろう男はイエロージャケット内部の者だった。
4959冒険者同士の噂話など大して珍しいものではないが、その噂はイエロージャケットの司令がギルドを通じて「腕利きの冒険者」を探しているというものだった。
ギルドに集う冒険者は皆それなりに腕の立つ者も多い。噂が本当ならば大きな仕事になるだろと皆、我こそはと思い思いに武勇伝を語り噂が噂を呼んでいた。
噂によると近頃エールポートからほど近い幻影諸島周辺で不審船の目撃が相次ぎ、イエロージャケットが慌ただしく調査していた件が関係あるという。
つい先日、俺もウェドと彼の友人たちと海賊崩れのならず者が麻薬の密売をしている所を暴いた事件があった。
件の不審船もこの密売船だったのだろう。密売の手引きをした主犯であろう男はイエロージャケット内部の者だった。
Ydnasxdew
MEMO子犬事件直後のウェドとカナDisturbed水中を漂っているような浮遊感。
あたりは一面の闇で、どれだけ目を凝らしても何も捉えることができない。
うっすらと自分を呼ぶ声がして、そちらへ手を伸ばす。
腕を何かに掴まれた感覚。
…暗闇に伸ばした腕の先に、何かが絡みついていた。
触れた箇所から肌がひび割れるような音を立てて逆剥け、バラバラと崩壊していく。
狂気に悲鳴を上げる間も無く、とてつもない力で身体が闇の底へ引き摺り込まれ…
「ウェド!」
「!」
突然名前を呼ばれて、ウェドの身体がベッドの上で大きく跳ねる。直前見ていたような気がする嫌な夢の残滓か、背筋を冷たい汗が伝っていくのがわかった。
ハッと声の方を見ると、すぐ脇でカナが質素な木製の椅子に腰掛けていた。
深い青色をした右眼が安堵の色を取り戻し、細い指が手元の羊皮紙にさらさらと文字を書きつけていく。
1819あたりは一面の闇で、どれだけ目を凝らしても何も捉えることができない。
うっすらと自分を呼ぶ声がして、そちらへ手を伸ばす。
腕を何かに掴まれた感覚。
…暗闇に伸ばした腕の先に、何かが絡みついていた。
触れた箇所から肌がひび割れるような音を立てて逆剥け、バラバラと崩壊していく。
狂気に悲鳴を上げる間も無く、とてつもない力で身体が闇の底へ引き摺り込まれ…
「ウェド!」
「!」
突然名前を呼ばれて、ウェドの身体がベッドの上で大きく跳ねる。直前見ていたような気がする嫌な夢の残滓か、背筋を冷たい汗が伝っていくのがわかった。
ハッと声の方を見ると、すぐ脇でカナが質素な木製の椅子に腰掛けていた。
深い青色をした右眼が安堵の色を取り戻し、細い指が手元の羊皮紙にさらさらと文字を書きつけていく。
Ydnasxdew
MEMO迷子の子犬&ルイスくんとマテウスくん解決編助っ人メルさとマルガくん
Light Never Goes Out -2-厚い雲が垂れ込めた空が、うっすらと地響きのような音を放っている。
宿を出た二人は二手に分かれ、住人達や酒場の客から情報を集めて合流をすることにしていた。テッドが待ち合わせの三叉路へ着くと、ウェドが道の端にしゃがみ込んで何かを調べている。
「ウェド、おまたせ。何かあったの?」
「ああ、ちょっとね。まずお互いの得た情報を共有しよう」
振り返ったウェドの表情は、いつもより険しい。調べていたのはどうやら何かの植物のようだった。
「造船廠では五日前、確かに東方の船から犬を連れたアウラ族の女性が下船したのが目撃されている。積荷の木材を造船廠の担当者に受け渡す役目を負っていたようだが、初日に取引を終えて以来姿を見かけていないそうだ。おそらく材木商のフリをしながら、麻薬の出所を探っていたんだろう。そして彼女は…酒場でこれに気がついた」
11100宿を出た二人は二手に分かれ、住人達や酒場の客から情報を集めて合流をすることにしていた。テッドが待ち合わせの三叉路へ着くと、ウェドが道の端にしゃがみ込んで何かを調べている。
「ウェド、おまたせ。何かあったの?」
「ああ、ちょっとね。まずお互いの得た情報を共有しよう」
振り返ったウェドの表情は、いつもより険しい。調べていたのはどうやら何かの植物のようだった。
「造船廠では五日前、確かに東方の船から犬を連れたアウラ族の女性が下船したのが目撃されている。積荷の木材を造船廠の担当者に受け渡す役目を負っていたようだが、初日に取引を終えて以来姿を見かけていないそうだ。おそらく材木商のフリをしながら、麻薬の出所を探っていたんだろう。そして彼女は…酒場でこれに気がついた」
ailout2
TRAININGイイコトイケナイコト溺れる海豚亭で2度目の夜を誘ったあの日、あれから俺とウェドは冒険者仲間としてだけでなく、時折夜を共にする関係になっていた。
勿論、ウェドがそうしたいと思ってくれている訳ではなく、ただ俺の誘いを断らないだけで俺はウェドのその優しさに甘えてしまっていた。
…とは言ったものの、実はまともに誘ったのは"件の二回目"の時くらいで、未だに自分から誰かを求めるという事に抵抗があり毎度どう誘ったものかと頭を悩ませている。
直接言う…のは恥ずかしい。しかしモグレターに「今夜セックスしませんか?」などと書ける訳もなく、いつも「今夜暇?」とか、「夜行ってもいい?」なんて遠回しに聞くだけで、そこからはウェドが俺の良いようにエスコートしてくれる。
1676勿論、ウェドがそうしたいと思ってくれている訳ではなく、ただ俺の誘いを断らないだけで俺はウェドのその優しさに甘えてしまっていた。
…とは言ったものの、実はまともに誘ったのは"件の二回目"の時くらいで、未だに自分から誰かを求めるという事に抵抗があり毎度どう誘ったものかと頭を悩ませている。
直接言う…のは恥ずかしい。しかしモグレターに「今夜セックスしませんか?」などと書ける訳もなく、いつも「今夜暇?」とか、「夜行ってもいい?」なんて遠回しに聞くだけで、そこからはウェドが俺の良いようにエスコートしてくれる。
Ydnasxdew
MEMOWTと迷子の子犬とルイス&マテウスLight Never Goes Out -1-「ただいま!」
バタン!と大きな音を立てて、隠れ家の入口の戸が開いた。元気の良い声が聴こえる前から、ウェドにはその人物が誰なのかわかっていた。外の船板を踏む音と気配に、ここの戸が開くまであと何秒、なんて考えたりもするものだ。
だがいつもと違って妙にその足取りに落ち着きがなかったので、ウェドは寝そべっていたソファから身体を起こし、読んでいた本を閉じて戸口へ目をやる。
「おかえり、テッド。なんだか忙しない様子だが、なにか……なんだい、それ?」
テッドが顔の前に掲げた『なにか』。それは無邪気に真っ黒な鼻をひくつかせ、小さくワンと鳴いた。
「えっと…い、犬……」
「犬だな」
「帰ってくる途中でバザードの群れに襲われてて…ほっとけなくて」
4887バタン!と大きな音を立てて、隠れ家の入口の戸が開いた。元気の良い声が聴こえる前から、ウェドにはその人物が誰なのかわかっていた。外の船板を踏む音と気配に、ここの戸が開くまであと何秒、なんて考えたりもするものだ。
だがいつもと違って妙にその足取りに落ち着きがなかったので、ウェドは寝そべっていたソファから身体を起こし、読んでいた本を閉じて戸口へ目をやる。
「おかえり、テッド。なんだか忙しない様子だが、なにか……なんだい、それ?」
テッドが顔の前に掲げた『なにか』。それは無邪気に真っ黒な鼻をひくつかせ、小さくワンと鳴いた。
「えっと…い、犬……」
「犬だな」
「帰ってくる途中でバザードの群れに襲われてて…ほっとけなくて」
Ydnasxdew
MEMO星芒祭の時期に料理を頑張ったウェドテッドが家のドアを開けると、ほのかに甘い香りと、うっすら何か焦げたような匂いが鼻先をくすぐった。
同時にキッチンの方からガラガラと大きな音がして、慌ててそちらへ駆け寄る。
どうしたの、と声をかける前に、まとめた前髪をぴょんと跳ねさせたウェドが振り向いて困ったように笑った。
「ああ…おかえり、テッド」
「た、ただいま…それ大丈夫⁉︎」
ウェドの目の前、シンクの中で食器が雪崩を起こしている。
「いや、何から片付けたものかと思ったら見る見る間に崩れてしまって…でも、ほら、見てくれ!」
ウェドが目線で促したテーブルの上には、三段重ねのパンケーキが置いてあった。少々不恰好だが、美味しそうなクリームがたっぷりとかけられて、てっぺんに歪ながらも星の形にカットされたフルーツがのっている。
1009同時にキッチンの方からガラガラと大きな音がして、慌ててそちらへ駆け寄る。
どうしたの、と声をかける前に、まとめた前髪をぴょんと跳ねさせたウェドが振り向いて困ったように笑った。
「ああ…おかえり、テッド」
「た、ただいま…それ大丈夫⁉︎」
ウェドの目の前、シンクの中で食器が雪崩を起こしている。
「いや、何から片付けたものかと思ったら見る見る間に崩れてしまって…でも、ほら、見てくれ!」
ウェドが目線で促したテーブルの上には、三段重ねのパンケーキが置いてあった。少々不恰好だが、美味しそうなクリームがたっぷりとかけられて、てっぺんに歪ながらも星の形にカットされたフルーツがのっている。
ailout2
TRAINING2度目の二人 少女漫画です🤦♀️Shall We?沢山の人で賑わう御屋敷。
煌びやかに着飾った人達。あまりに現実味がなくて時間よりも早く着いたにも関わらず少し離れてその光景を眺めている。
幼い頃はこういう場所にも連れてこられたものだけど、そんな世界から離れて随分と経つ。
何より、昔は幼さで許されていたが今はもう大人になってしまった。
社交界の振る舞いなんて、ちゃんと学ぶ前に縁がなくなってしまったのだから尻込みしてしまうのは仕方ないと言うもの。
どうして俺がこんな場所にいるのかと言うのは先日の話…
たまたま条件がよく受けた依頼がリムサの富豪の護衛というもので、それはもう、予想以上に大変な仕事だったのだけど何とか遂行する事が出来、報酬の他にお礼をしたいとパーティに呼ばれた、という、まぁ分かりやすい理由だ。
4158煌びやかに着飾った人達。あまりに現実味がなくて時間よりも早く着いたにも関わらず少し離れてその光景を眺めている。
幼い頃はこういう場所にも連れてこられたものだけど、そんな世界から離れて随分と経つ。
何より、昔は幼さで許されていたが今はもう大人になってしまった。
社交界の振る舞いなんて、ちゃんと学ぶ前に縁がなくなってしまったのだから尻込みしてしまうのは仕方ないと言うもの。
どうして俺がこんな場所にいるのかと言うのは先日の話…
たまたま条件がよく受けた依頼がリムサの富豪の護衛というもので、それはもう、予想以上に大変な仕事だったのだけど何とか遂行する事が出来、報酬の他にお礼をしたいとパーティに呼ばれた、という、まぁ分かりやすい理由だ。
sya_ill4
DOODLE低クオリティアナログ落書きまとめ!!女装ありますマジで注意。
なんでも許せる心の広い人だけ見てください
この界隈に来て歴が浅いのでルール理解しきれてないとこあります。問題あれば消すので教えてください🙇♀️
パスワードは🐼さんの誕生日 6
Ydnasxdew
MEMOうっかり海賊バレするウェドVeiled Horizonさわやかな海風、船の出入港を告げる鐘の音。屈強な海の男たちの掛け声が飛び交う賑やかなデッキの上を、のんびりとカモメが通り過ぎていく。
リムサ・ロミンサの街は今日も活気に溢れている。テッドは大きく息をつくと、フェリードッグの錨に腰掛けた。
今日の仕事は冒険者のものというより、誰でもできるような雑用だ。ベスパーベイからやってきた貨物船の荷の積み下ろしが主な作業だったが、おもいのほか荷の量が多く想定していたよりかなり時間がかかってしまった。
(お腹すいたなぁ…)
おそらくもう昼時は過ぎているだろう。
ちょうどそんなことを考えていたタイミングで休憩の声がかかった。空へ大きく伸びをして、中身の心もとない硬貨袋を手にマーケットへ向かう。ふと、ゲートに程近い場所に停泊している船に目が留まった。
4702リムサ・ロミンサの街は今日も活気に溢れている。テッドは大きく息をつくと、フェリードッグの錨に腰掛けた。
今日の仕事は冒険者のものというより、誰でもできるような雑用だ。ベスパーベイからやってきた貨物船の荷の積み下ろしが主な作業だったが、おもいのほか荷の量が多く想定していたよりかなり時間がかかってしまった。
(お腹すいたなぁ…)
おそらくもう昼時は過ぎているだろう。
ちょうどそんなことを考えていたタイミングで休憩の声がかかった。空へ大きく伸びをして、中身の心もとない硬貨袋を手にマーケットへ向かう。ふと、ゲートに程近い場所に停泊している船に目が留まった。
Ydnasxdew
MEMO裏切り者・ウェドCourageous pigeonテッドは暗く湿った貨車の中で、絶望に一人涙を流していた。
あたりには啜り泣く人の気配。背中側で纏めて拘束された両手を動かす気力すら、今の彼には残っていない。
信じたくない。思い出したくない。
しかし頭は先程の出来事を延々と再生し続ける。
なんで。どうして。
ウェドが、裏切り者だったなんて。
*****
西ザナラーンでの任を終えて帰路に着こうとしていたテッドは、足跡の谷を通りすがった折に見慣れた姿を目にした。
背の高い、灰茶の髪をした褐色肌の男が、岩場の陰に向かって歩いていく。
(ウェド…?あんなところでなにしてるんだろ)
テッドが遠くから様子を伺っていると、大きな柱を通り過ぎたあたりでウェドが突然その姿を消した。
驚き慌ててウェドがいたあたりまで走る。付近を見渡しても、なにもない。
7480あたりには啜り泣く人の気配。背中側で纏めて拘束された両手を動かす気力すら、今の彼には残っていない。
信じたくない。思い出したくない。
しかし頭は先程の出来事を延々と再生し続ける。
なんで。どうして。
ウェドが、裏切り者だったなんて。
*****
西ザナラーンでの任を終えて帰路に着こうとしていたテッドは、足跡の谷を通りすがった折に見慣れた姿を目にした。
背の高い、灰茶の髪をした褐色肌の男が、岩場の陰に向かって歩いていく。
(ウェド…?あんなところでなにしてるんだろ)
テッドが遠くから様子を伺っていると、大きな柱を通り過ぎたあたりでウェドが突然その姿を消した。
驚き慌ててウェドがいたあたりまで走る。付近を見渡しても、なにもない。
Ydnasxdew
MEMOウェドが全部打ち明けてからアルさんと決着前くらいの中継ぎPart of your Heartさらさらと風が木々を撫でる音に目を覚ました。虫の声が耳に心地いい。
この部屋でウェドと一緒に眠るのにも慣れてきた。
ウェドがザナラーンに部屋を買ったと聞いた時は驚いた。住むところになんて全然関心がなくて、そのうえラノシア方面の仕事をメインにしているはずなのに…
しかも俺に一緒に住まないか、なんて言ってくるものだから、嬉しさと信じられなさとで咄嗟に言葉が出てこなかったほどだ。
とはいえあの廃船を手放したわけではなく、最近はさらにもう一つの拠点として、ウェドの知り合いだという大きなロスガルの男がミストヴィレッジの家を貸してくれる予定になっているらしい。
ザナラーンのこの部屋は、俺とウェドだけの新しい「隠れ家」といったところだろう。場所をわざわざこっちにしてくれたのは、俺のことを気にしてくれたのかな、とも思う。
1496この部屋でウェドと一緒に眠るのにも慣れてきた。
ウェドがザナラーンに部屋を買ったと聞いた時は驚いた。住むところになんて全然関心がなくて、そのうえラノシア方面の仕事をメインにしているはずなのに…
しかも俺に一緒に住まないか、なんて言ってくるものだから、嬉しさと信じられなさとで咄嗟に言葉が出てこなかったほどだ。
とはいえあの廃船を手放したわけではなく、最近はさらにもう一つの拠点として、ウェドの知り合いだという大きなロスガルの男がミストヴィレッジの家を貸してくれる予定になっているらしい。
ザナラーンのこの部屋は、俺とウェドだけの新しい「隠れ家」といったところだろう。場所をわざわざこっちにしてくれたのは、俺のことを気にしてくれたのかな、とも思う。
Ydnasxdew
MEMO出会いのWTThe Man of Fifth「えっ!」
集合場所へ到着するなり、テッドはぎょっとして声を上げた。
できればもう関わり合いになりたくないと思っていた人物が、目の前にいたからである。
「ん…?ああ!君はさっきの…まさか同じ任務を受けているとは」
テッドを振り返った男は人懐こそうな笑みを浮かべて歩み寄ってくる。
この男…確か名前はウェド・ディアス。
つい先ほどの初対面の印象は最悪だった。見た目から態度からいかにも軽薄そうで、実際テッドの目の前で複数の女性に甘い言葉を囁いて引っ叩かれていた。
(こういう奴って大抵自意識過剰でひとりよがりなんだよなぁ…顔が良いからちやほやされて、自分は強いって思い込んでるけど実力は大したことないナルシストの典型ってかんじ…)
7317集合場所へ到着するなり、テッドはぎょっとして声を上げた。
できればもう関わり合いになりたくないと思っていた人物が、目の前にいたからである。
「ん…?ああ!君はさっきの…まさか同じ任務を受けているとは」
テッドを振り返った男は人懐こそうな笑みを浮かべて歩み寄ってくる。
この男…確か名前はウェド・ディアス。
つい先ほどの初対面の印象は最悪だった。見た目から態度からいかにも軽薄そうで、実際テッドの目の前で複数の女性に甘い言葉を囁いて引っ叩かれていた。
(こういう奴って大抵自意識過剰でひとりよがりなんだよなぁ…顔が良いからちやほやされて、自分は強いって思い込んでるけど実力は大したことないナルシストの典型ってかんじ…)
ailout2
TRAININGアルとの決着 テッドくん視点+後日少しreleaseウェドの声が聞こえる。
『─ッド…目を…さま……』
ウェド、ごめん、俺またあいつに抗えなかった、ごめん…
『…行っ…くる。』
ウェド?待って、ウェド行かないで!
駄目だ、追い掛けちゃ駄目だ…!
俺は大丈夫だから、ウェド!
ウェド!!
会いたかった愛しい人の気配がするというのに閉じたままの瞼は錆び付いてしまったかのように重い。
体も泥の中に沈んでしまったように動かない。
それでも、彼を引き留めなくては、という強い一心で必死に何とか瞼をこじ開けた。
目をぐるりと回すと部屋には誰もいない、しかし綺麗に身なりが整えられていることに気が付いた。
(やっぱり…ウェドは居たんだ。そして行ってしまった…)
鉛のように重く軋む体を何とか起こし、立ち上がろうとするがバランスを崩しベッドから転げ落ちてしまった。
2683『─ッド…目を…さま……』
ウェド、ごめん、俺またあいつに抗えなかった、ごめん…
『…行っ…くる。』
ウェド?待って、ウェド行かないで!
駄目だ、追い掛けちゃ駄目だ…!
俺は大丈夫だから、ウェド!
ウェド!!
会いたかった愛しい人の気配がするというのに閉じたままの瞼は錆び付いてしまったかのように重い。
体も泥の中に沈んでしまったように動かない。
それでも、彼を引き留めなくては、という強い一心で必死に何とか瞼をこじ開けた。
目をぐるりと回すと部屋には誰もいない、しかし綺麗に身なりが整えられていることに気が付いた。
(やっぱり…ウェドは居たんだ。そして行ってしまった…)
鉛のように重く軋む体を何とか起こし、立ち上がろうとするがバランスを崩しベッドから転げ落ちてしまった。
Ydnasxdew
MEMOテッドくんに心を開くウェドCrystal Blue東ラノシア、ブラッドショア。
異常繁殖したクラブの駆除の依頼を片付けた俺とウェドは、一緒に仕事をした他の冒険者たちとコスタ・デル・ソルで夕食を摂り、ビーチに程近い宿の部屋へ入った。
自分たちで斃したクラブを使った料理はそれはもうすごい量だったけど、ここにいる男たちの胃袋はそれを凌ぐ大きさのようで、シェフが拵えたいろいろな種類の蟹料理があっという間に消えていった。
一日共に戦った仲間と囲んだ食事だったから、というのもあってか、俺もなんだか楽しくなってしまっていつもより食べ過ぎた気がする。二人部屋の宿で同室がウェドだって知ってたから、酒は控えめにした。……酔ってなんか変なこと言っちゃったら嫌だし…。
外の共用浴場でシャワーを浴びて、部屋へ戻って簡素な寝台にダイブした。
6749異常繁殖したクラブの駆除の依頼を片付けた俺とウェドは、一緒に仕事をした他の冒険者たちとコスタ・デル・ソルで夕食を摂り、ビーチに程近い宿の部屋へ入った。
自分たちで斃したクラブを使った料理はそれはもうすごい量だったけど、ここにいる男たちの胃袋はそれを凌ぐ大きさのようで、シェフが拵えたいろいろな種類の蟹料理があっという間に消えていった。
一日共に戦った仲間と囲んだ食事だったから、というのもあってか、俺もなんだか楽しくなってしまっていつもより食べ過ぎた気がする。二人部屋の宿で同室がウェドだって知ってたから、酒は控えめにした。……酔ってなんか変なこと言っちゃったら嫌だし…。
外の共用浴場でシャワーを浴びて、部屋へ戻って簡素な寝台にダイブした。
Ydnasxdew
MEMOアルさんのとこに乗り込んでいく直前。テッドくんへの気持ちを自覚したウェドPrecious Lights砂漠の夜風が冷たく身を切り裂いていく。
遠くに見える先程発ったばかりの忘れられたオアシスの灯りを振り返り、俺は目の前の寂れた小屋の扉を開いた──……
テッドの前に突然現れた、アルダシア・ガラムという男。
あの男が現れてから、テッドの様子が目に見えておかしくなった。
あんなに人懐こかった笑顔が陰を帯び、あからさまに俺といる時間を作らないようにしている。
アルダシアを初めて見た時、全身の毛が逆立つような嫌な予感が背筋を撫でていったのを思い出す。
人当たりの良さそうな雰囲気の裏にある邪悪。この俺がそれを見逃すものか。
いずれ起こるだろう全面衝突の気配を感じ、俺はアルダシアのことを調べ始めた。
だが予想通り、どれだけ調べてもほとんどこれといった情報が出てこない。どこにでもいる、『普通の中堅冒険者』。それが表向きの奴の「設定」なのだろう。俺が、『小さな交易船の若手航行士』だったように。
2276遠くに見える先程発ったばかりの忘れられたオアシスの灯りを振り返り、俺は目の前の寂れた小屋の扉を開いた──……
テッドの前に突然現れた、アルダシア・ガラムという男。
あの男が現れてから、テッドの様子が目に見えておかしくなった。
あんなに人懐こかった笑顔が陰を帯び、あからさまに俺といる時間を作らないようにしている。
アルダシアを初めて見た時、全身の毛が逆立つような嫌な予感が背筋を撫でていったのを思い出す。
人当たりの良さそうな雰囲気の裏にある邪悪。この俺がそれを見逃すものか。
いずれ起こるだろう全面衝突の気配を感じ、俺はアルダシアのことを調べ始めた。
だが予想通り、どれだけ調べてもほとんどこれといった情報が出てこない。どこにでもいる、『普通の中堅冒険者』。それが表向きの奴の「設定」なのだろう。俺が、『小さな交易船の若手航行士』だったように。
ailout2
TRAINING2度目の切っ掛け WTSecond time around.ウェド・ディアス…その青年と知り合ったのは重なった勘違いの偶然からだった。
彼と肌を重ねることになったのも巻き込まれた偶然みたいなもので、
彼はリムサ・ロミンサでも屈指のモテ男、誘われれば誰の誘いも断ることがない色男だった。
誘った訳ではなく彼とそういう夜を過ごした人間は実は稀なのかもしれない。
…まぁ一対一の行為ではなかった時点で稀なのだが。
彼の噂はあちこちで耳にした。
仕事面でも信頼出来る腕の立つ冒険者、性格も人当たりがよく好青年で、ハンサムで身長もあって、当然モテる。男女関係なく。
とはいえ浮いた話は全くなく、一晩ベッドを共にしたとしても、”それ以上はない”らしい。
リムサ・ロミンサ一の美女ですら落とせなかったと聞く。
3317彼と肌を重ねることになったのも巻き込まれた偶然みたいなもので、
彼はリムサ・ロミンサでも屈指のモテ男、誘われれば誰の誘いも断ることがない色男だった。
誘った訳ではなく彼とそういう夜を過ごした人間は実は稀なのかもしれない。
…まぁ一対一の行為ではなかった時点で稀なのだが。
彼の噂はあちこちで耳にした。
仕事面でも信頼出来る腕の立つ冒険者、性格も人当たりがよく好青年で、ハンサムで身長もあって、当然モテる。男女関係なく。
とはいえ浮いた話は全くなく、一晩ベッドを共にしたとしても、”それ以上はない”らしい。
リムサ・ロミンサ一の美女ですら落とせなかったと聞く。
Ydnasxdew
MEMOウェドの設定About:Wed Diazエオルゼアより南、南洋諸島の1つからやってきた長身の青年。
アッシュブラウンの髪、海色の瞳、褐色の肌を持つ。
霊3月25日(6月24日)生まれ。
24歳の時にリムサ・ロミンサで冒険者登録をし、現在26歳。
小さな島一つを生活の拠点とする漁村の子として生まれ、14歳まで自らも漁業に勤しんでいた。
両親、祖父、妹と暮らしていたが、ある夜突然島の人間が次々と異形化して殺し合う事件が起き、ウェド自身も異形化した妹に殺されかけ、応戦した際に逆に妹を殺してしまった。
絶望したウェドは自ら命を絶とうと海に身を投げるが、海上で交易船を装った対・無法者専門の海賊船に回収され、24歳で船を降ろされるまで覆面警察のような仕事をすることになる。
3702アッシュブラウンの髪、海色の瞳、褐色の肌を持つ。
霊3月25日(6月24日)生まれ。
24歳の時にリムサ・ロミンサで冒険者登録をし、現在26歳。
小さな島一つを生活の拠点とする漁村の子として生まれ、14歳まで自らも漁業に勤しんでいた。
両親、祖父、妹と暮らしていたが、ある夜突然島の人間が次々と異形化して殺し合う事件が起き、ウェド自身も異形化した妹に殺されかけ、応戦した際に逆に妹を殺してしまった。
絶望したウェドは自ら命を絶とうと海に身を投げるが、海上で交易船を装った対・無法者専門の海賊船に回収され、24歳で船を降ろされるまで覆面警察のような仕事をすることになる。
ailout2
TRAININGアルダシアとの決着※暴力表現と軽く無理やり描写有り
テッドと新居を構えてからしばらく経った。
改めて一緒に住む事になり、お互いを思い合う身に余る程の幸せな時間を過ごしていた。
以前暮らしていた廃船から部屋を移したのはいくつか理由があったが、一番の理由はやはりテッドの身の安全だった。
”あの男”─アルダシア・ガラムが姿を消してからもう3か月。
きっと必ずまた現れる。
テッドといつも一緒にいられる訳では無い。場所を知られてしまっている廃船に一人にしては置けない。
奴が現れないうちに、せめて安心できる場所を、と急ぎ用意した部屋だった。
依頼で帰れない日には必ず愛鳥のアンバーをテッドの側から離れないようにつけていた。
そう、警戒はしているつもりだった─
だが遠征の帰路、自分の元にそのアンバーが飛び込んできたのだ。アンバーの足には血に濡れたエメラルドグリーンのピアスがひとつ括り付けられている。
6500改めて一緒に住む事になり、お互いを思い合う身に余る程の幸せな時間を過ごしていた。
以前暮らしていた廃船から部屋を移したのはいくつか理由があったが、一番の理由はやはりテッドの身の安全だった。
”あの男”─アルダシア・ガラムが姿を消してからもう3か月。
きっと必ずまた現れる。
テッドといつも一緒にいられる訳では無い。場所を知られてしまっている廃船に一人にしては置けない。
奴が現れないうちに、せめて安心できる場所を、と急ぎ用意した部屋だった。
依頼で帰れない日には必ず愛鳥のアンバーをテッドの側から離れないようにつけていた。
そう、警戒はしているつもりだった─
だが遠征の帰路、自分の元にそのアンバーが飛び込んできたのだ。アンバーの足には血に濡れたエメラルドグリーンのピアスがひとつ括り付けられている。
Ydnasxdew
MEMO大喧嘩するWTUntouchable心臓を直接殴られたかのように響く渇いた轟音。
額から噴き出し跳ねる鮮血。
地に斃れる男の重い身体。
全てがスローモーションに見えた。
発砲された銃から硝煙が上がっている。
煙の向こうには、今まで見たこともないほど暗く、冷たく、ギラギラと殺意を放つ青い瞳。
突然の出来事に凍りついていた思考が瞬時に沸騰し、テッドは硝煙を見に纏う『それ』に掴みかかった。
「な…………っに、やってんだよ!ウェドッ!」
「ちょっ…テッド!」
ヤコブとムーがテッドの腕を取り、ウェドから引き剥がす。
ウェドは表情を変えず、静かにテッドを見据えて呟いた。
「何って?仕事だよ」
「ふざけるな!俺たちの任務は住民失踪の原因を突き止めて、これ以上の被害を出さないようにすることだろ!」
6807額から噴き出し跳ねる鮮血。
地に斃れる男の重い身体。
全てがスローモーションに見えた。
発砲された銃から硝煙が上がっている。
煙の向こうには、今まで見たこともないほど暗く、冷たく、ギラギラと殺意を放つ青い瞳。
突然の出来事に凍りついていた思考が瞬時に沸騰し、テッドは硝煙を見に纏う『それ』に掴みかかった。
「な…………っに、やってんだよ!ウェドッ!」
「ちょっ…テッド!」
ヤコブとムーがテッドの腕を取り、ウェドから引き剥がす。
ウェドは表情を変えず、静かにテッドを見据えて呟いた。
「何って?仕事だよ」
「ふざけるな!俺たちの任務は住民失踪の原因を突き止めて、これ以上の被害を出さないようにすることだろ!」
Ydnasxdew
MEMOしあわせを噛み締めるウェドKilling me softlyふに。ふに。
ふに。ふに。
「……」
自分の隣で気持ちよさそうに眠るテッドの唇があまりに愛らしく見え、ウェドは手を伸ばして優しく指で触れた。
柔らかくて、あたたかい。そっとつついては離し、その感触をひっそりと楽しむ。
「……むぅー………」
「…!」
触れられたことに反応したのか、テッドが毛布の下でもぞもぞと身じろぎした。
ウェドは一瞬手を離す。が、テッドが寝入っているのを確認すると再び唇をつついて遊び始めた。
ふに。ふに。
ふに。ふに。
「……ふふっ」
堪えきれず笑みが溢れる。
──なんて愛おしいんだろう。
こんな穏やかな時間も、テッドの存在も、こうして彼が自分の隣で安心して眠っているという事実も……何もかも、少し前の自分なら自ら拒絶して切り離しているものだったかもしれない。
1482ふに。ふに。
「……」
自分の隣で気持ちよさそうに眠るテッドの唇があまりに愛らしく見え、ウェドは手を伸ばして優しく指で触れた。
柔らかくて、あたたかい。そっとつついては離し、その感触をひっそりと楽しむ。
「……むぅー………」
「…!」
触れられたことに反応したのか、テッドが毛布の下でもぞもぞと身じろぎした。
ウェドは一瞬手を離す。が、テッドが寝入っているのを確認すると再び唇をつついて遊び始めた。
ふに。ふに。
ふに。ふに。
「……ふふっ」
堪えきれず笑みが溢れる。
──なんて愛おしいんだろう。
こんな穏やかな時間も、テッドの存在も、こうして彼が自分の隣で安心して眠っているという事実も……何もかも、少し前の自分なら自ら拒絶して切り離しているものだったかもしれない。
ailout2
TRAINING軽く幼少期の話「父さま!母さま!」
「テッド ほらおいで 転ぶといけない 手を繋いで」
ウルダハのクイックサンドへ上がる階段を元気に駆け上がる幼い少年
外に跳ねた金髪とふっくらとした唇が愛らしい
両親と思われる二人に手を引かれクイックサンドへと入っていく
身なりからすると裕福な商家のようだ
「この前ね、にいさまがね、」
「テッドはすぐににいさま、にいさまと、本当に仲がいいわね」
エメラルドの瞳をした母がくすくすと笑いかける
幸せそうな家族はクイックサンドの奥からマーケットへ向かう
薄暗いパールレーンを避けるように一本目の角を曲がろうとした瞬間、テッドはすれ違いざまに道行く男に脚を払われる
「テッド!」
どてりと転びあわや階段を転げ落ちるところだった
1497「テッド ほらおいで 転ぶといけない 手を繋いで」
ウルダハのクイックサンドへ上がる階段を元気に駆け上がる幼い少年
外に跳ねた金髪とふっくらとした唇が愛らしい
両親と思われる二人に手を引かれクイックサンドへと入っていく
身なりからすると裕福な商家のようだ
「この前ね、にいさまがね、」
「テッドはすぐににいさま、にいさまと、本当に仲がいいわね」
エメラルドの瞳をした母がくすくすと笑いかける
幸せそうな家族はクイックサンドの奥からマーケットへ向かう
薄暗いパールレーンを避けるように一本目の角を曲がろうとした瞬間、テッドはすれ違いざまに道行く男に脚を払われる
「テッド!」
どてりと転びあわや階段を転げ落ちるところだった
ailout2
TRAININGテッドくん+カナさん視点交わらない片思い
カインさんお借りしてます!
2021/8/7
intersection賑やかな食事時を過ぎ、酒飲みがだらだらと晩酌を続けている夕刻の「溺れる海豚亭」
隅の席で酒も飲まずに指先でリンクパールを転がしている青年がいた
「よぉテッド グラスが空だぞ 一杯飲むか〜?」
「遠慮しとく 俺今忙しいんだ」
酔っ払いの常連客に声を掛けられたテッドは誰がどう見ても忙しそうには見えず、むしろ暇を持て余しているようにすら見えた
(前回…ウェドと会ったのいつだっけ…)
しばらく会っていない
ウェドと"そういう関係"になってからどれくらいだろう
ウェドにとって、あってもなくてもいい関係という自覚はある
だからこそ俺から誘って夜を過ごす
又は依頼が一緒だった日そのまま、とか
とにかく月に3回くらいはウェドと体を重ねていた
3470隅の席で酒も飲まずに指先でリンクパールを転がしている青年がいた
「よぉテッド グラスが空だぞ 一杯飲むか〜?」
「遠慮しとく 俺今忙しいんだ」
酔っ払いの常連客に声を掛けられたテッドは誰がどう見ても忙しそうには見えず、むしろ暇を持て余しているようにすら見えた
(前回…ウェドと会ったのいつだっけ…)
しばらく会っていない
ウェドと"そういう関係"になってからどれくらいだろう
ウェドにとって、あってもなくてもいい関係という自覚はある
だからこそ俺から誘って夜を過ごす
又は依頼が一緒だった日そのまま、とか
とにかく月に3回くらいはウェドと体を重ねていた
Ydnasxdew
MEMOわからせ後の確認フェーズNo one but youウェドはなんとも言えない気まずさに頭を抱えていた。
夜の魔力とは恐ろしいものだ。大事なことを伝えるなら太陽の見ている間にしろと言ったのは一体どこの偉人だろう。全くもってそのとおりである。
そうだ。…言ってしまった。
愛していると、伝えてしまった。
そのうえ自制することもなく夢中で求めてしまった。
(くそ、なんてこった……もっと他にうまく伝えようがあったろうに……あれじゃ勢いに任せて言ったみたいじゃないか……)
目を覚ますとそこは宿の寝台の上で、少し離れたところにあるテーブルではすっかり身なりを整えたテッドが朝食をとっている。
昨晩の出来事が頭の中で鮮明に再生され、テッドになんと声をかけたものか頭の中でぐるぐると言葉を巡らせながらのそりと起き上がった。
2470夜の魔力とは恐ろしいものだ。大事なことを伝えるなら太陽の見ている間にしろと言ったのは一体どこの偉人だろう。全くもってそのとおりである。
そうだ。…言ってしまった。
愛していると、伝えてしまった。
そのうえ自制することもなく夢中で求めてしまった。
(くそ、なんてこった……もっと他にうまく伝えようがあったろうに……あれじゃ勢いに任せて言ったみたいじゃないか……)
目を覚ますとそこは宿の寝台の上で、少し離れたところにあるテーブルではすっかり身なりを整えたテッドが朝食をとっている。
昨晩の出来事が頭の中で鮮明に再生され、テッドになんと声をかけたものか頭の中でぐるぐると言葉を巡らせながらのそりと起き上がった。