君の瞳夜が嫌いだ。一人になるとどうしても、考えてしまう。あいつらに、どれだけの練習をすれば追いつけるのか。あいつの隣に自信を持って立てるのか。杏の様に俺も冬弥にこの思いを吐き出せたら。そんな…、考えると止まらなくなる。そうして苦しく長い夜は明けてゆく。スマホは5時50分。…え「やべッ」今日は冬弥と6時から朝練の予定だ。「ッ…最悪だ。」とにかく、LINEを…、すぐに返事が来た。「嗚呼、分かった。」それだけだ。責める事もしない。でも俺はそれでいつも泣きそうになってしまう。こんな最高の相棒の隣は俺には似合わない。いっそ突き放してくれたら楽なんだが。それより早く準備しないとな。
〜10分後〜
「悪い。冬弥遅くなっちまった。」
「…!大丈夫だ…!俺もいま来たばかりだ。」そう言って笑った冬弥の鼻は赤い。長い時間待ってくれたのが分かる。ああ、また迷惑かけちまった。速く追い付かないといけねえのに。なのにまた遠ざかっていく。「彰人大丈夫か」冬弥が不安そうにこちらを覗き込んでくる。黙ってしまってたのか。「大丈夫だ。よし歌うか。」「ああ。」曲のイントロが流れる。まずは俺のソロからだ。「〜♪」…少しは上手く歌えたか次は冬弥の…「〜♪〜♪」…まただ、上手く歌えたと思ったのに冬弥はそれを超えてくる。次、サビ…「♪〜…ッ…ゴホッゴホッ」やべえ、「彰人…?」歌わねえと、冬弥に追い付けねえ。「どうしたんだ…?」もっと、もっと、もっと「彰人」練習しねえともっと…「彰人…」(抱きつく)「え…あ、え…おい、どうしたんだ…急に」「俺を頼れ…彰人」「は、なにいってんだ冬弥の事はずっと頼りに…」「俺に悩み事さえ話してくれないのにか」「それは…」「彰人、俺に全部想いをぶつけていい
ぞ。俺はお前からもう二度と離れない。」「…本当にいいのか…?」「勿論」そういう冬弥の真っ直ぐな蒼の瞳はとても奇麗だった。俺は君の瞳に惚れたのかもしれない。「俺は…」