初めて見た時から好きでした ある日の昼下がり、黒髪の少年が森を駆け抜けていた。彼の名前はマッシュ・バーンデッド。街外れのシュークリーム屋の店員である。夢は自分の店を持つこと。今は修行中の身だ。なぜそんな彼がこうして森の中を走っているかというと、それは遡ること一時間ほど前のこと。いつものようにマッシュが店で仕込みをしていたところ街まで行き卵と牛乳を買ってきてくれないかとの打診を受けたことがきっかけである。卵と牛乳はいつも店に決まって届けられているためマッシュが不思議に思い理由を尋ねると、店主は口を開く。どうやら商人が体調を崩してしまいしばらく運送が難しいとのこと。加えて新たに探すのも手間だし、その間直接街まで買いにいってくれないかとのこと。体力に自信があるマッシュは二つ返事で受け入れると、すぐさま街へと赴き今に至る。道中は大人の足で三十分程度はかかるところだが、異常に足の速いマッシュはあっという間に目的の店へと到着した。卵と牛乳を無事に購入し安堵していると、あろう事か店を出て間もなく卵を地面に落としてしまった。
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