ふたりの記憶 時間切れを知らせるアラームが鳴った。なんだかおかしな展開に転がった会話が収まらないままキャバリアーから降りたふたりを、仲間たちが囲む。
促されるまま歩き出しつつ、カガリは首だけを回してアスランを窺う。視線に気づいた彼がふわりと目元を緩めるのに、無声音で『アスハ邸に泊まれ』と伝えた。しっかりと唇の動きを読み取ったアスランの反応を待たず、カガリは近寄る側近に指示を出しながらその場を離れた。
その後は息を吐く間もないほどの忙しさだったが、リモートとはいえ戦闘に参加した彼女に徹夜を強いるのは忍びない、と日付が変わる時分で私邸に帰ることができた。数時間ほど前に「絶対に待たずに休むこと」とメッセージを入れておいたので、彼も今日はもう眠っているだろう。
8079