幸せの青い鳥ホテルの大きな窓から見えるは大海原。
荷物も置き、紅茶を淹れて。
プライドと一息ついてボーと海を見つめる。冬なのにサーファーがたくさんいることが驚きだ。
今日は少し波が荒いが、天候もよく暖かい。夕飯まで時間もまだあるし、後でプライドと海辺を散歩するのもいいだろう。
そう考えながら紅茶を飲んでいると突然プライドが腹這いになりほふく前進で掃き出し窓に近付いた。
一国の王女の突然の奇行も今ではすっかり慣れてしまった。また面白いものを見つけたのだろうと、次の行動を予想し、飲んでいた紅茶を机に置いた。
「カラム!カラム!」
声を抑えながらもちょいちょいと手で早く来て!と呼ぶプライドの目線の先には小さな鳥がいた。窓から見える塀の上に美しい青色の羽を持つ鳥が止まっているのだ。
その小鳥を驚かせないように腹這いになりながら近付いたことを理解すれば私もそっと身を低め、プライドの隣に並び観察を始め──ようとしたが、ぎゅっと上着の袖を握られた。プライドを見れば今も小鳥を夢中で観察している。
それなのにその指は私を逃さないようにと私を捕まえている。まるでいつ飛び立つか分からない小鳥と私を重ねているかのようでとてもいじらしく感じた。
それに実際、何処かへと飛んで行ってしまうのは私よりもプライドの方だ。
そんないじらしい事をされては小鳥の観察に集中出来ないではないか。私は小鳥よりも愛らしい人の観察を始めた。
今もプライドは青い小鳥に目を奪われ目尻が下がっている。こんなにも愛らしいプライドを未来永劫ずっと隣で見ていたいのだから私が離れるわけが無い。
「ふふっ可愛いわ」
表情を綻ばせながら言うプライドに今は心の中で同じ言葉を贈る。
チラッと小鳥を見ればチョンチョンとジャンプで塀を移動し遠ざかっていく。その姿を見送ろうと小鳥に合わせて顔を動かして行くプライドの様子は幼い子供のように見えて思わず笑いが漏れてしまった。
「カラム?」
きょとんと私を見るプライド。
「いえ。……あ、飛びそうだ」
「え?」
プライドが顔を戻し……切る前に小鳥は素早く青い翼を広げ飛び立って行った。
「あ~~見えなくなっちゃった」
「ははっ、すまなかった」
私が笑えばプライドもクスクス笑い出す。
「綺麗な青い鳥だったわね!お腹は濃いオレンジでとても鮮やかな色彩で!」
「ああ本当に」
「また来てくれるかしら?」
「また戻って来るさ」
「そうだと嬉しいわね」
本当に嬉しそうに笑うプライドが愛しくて抱きしめた。
「カラム?」
「ん。本当にあなたは愛らしくて」
コツンと額をプライドの頭に当てる。
「いつまでも目が離せません」
「〜〜っ」
腕の中で真っ赤な顔になるプライドは本当に愛らしくて堪らない。
「あの小鳥は本当に幸せを運ぶ青い鳥だったようだな」
「〜〜はい……」
小さい声でも聞き逃さないほど近くにいれることにこれ程の幸せを感じる。チュッとプライドの赤く柔らかな頬にキスを贈った。
■後書き
青い鳥のモデルは『イソヒヨドリ』です。
千葉の海が見えるホテルから見えました。
とても可愛かったのでカラプラも夢中で見ると思います(◍•ᴗ•◍)甘