お題「ハロウィン」 今年もハロウィンがやってきた。
昨年のこの時期は首に爆弾をつけられ、ハロウィンどころではなかった。
今年のハロウィンも公安としての仕事が山積みだったが、それはもう終わりが見えている。
十月三十一日。現時刻は、午後十一時過ぎ。まだまだ油断はできない状況だが、例年通り渋谷は大混雑をみせたものの、平穏なハロウィンだったといえるだろう。
スマホのバイブ音が鳴り、降谷はスマホの画面をタップする。電話をかけてきたのは風見だった。
『降谷さん、こちらはもう大丈夫です。そろそろ休まれてください』
「ああ、そうさせてもらうよ」
仕事はタイミングよくやってきてはくれない。ありとあらゆる仕事が山のように重なり、降谷はこの一週間、まともに睡眠をとることができていなかった。仮眠室に二度ほど入った記憶はあるが、ほんの数時間で仕事を再開させている。自分がまともに休んでいないことに風見も気づいていて、落ち着いたタイミングで電話をかけてきたのだろう。
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