「いつ兄さんが俺の元から離れて冴島のところに行ってしまうのか…」
「25年間 俺は冴島の代わりだったのか?」
いざ神室町…
全部が終わった後4人でミレニアムタワーの前で雑談してたら兄さんが警察から戻って来た。
真っ先に俺のとこに来てくれるかと思ったらずっと冴島のところで話してる。
25年振りの再会だから話す事が沢山有るだろうと思い俺は皆んなに挨拶をして宿泊先のホテルに戻った。
次の日沖縄に戻る前に兄さんに逢おうと思って電話したけど何回掛けても繋がらない。
忙しいのか?って思ってミレニアムタワーに有る真島組まで行ってみた。
エレベーターを降りたら俺を呼ぶ声が聞こえた。
「あっ桐生の叔父貴!」
西田がドアの前で慌てていた。
「中に兄さん居るのか?」
と俺が言ったら
「親父は取り込み中です。伝言が有るなら伝えますよ?」
西田がそう言うのでまた電話すると言って俺は沖縄に戻った。
数日経っても兄さんからは連絡が来なかった。
何回かメールや電話をしてみたけど兄さんには繋がらなかった。
数週間後
何とか都合をつけて俺は神室町に戻って来た。
兄さんのところに行こかと思って中道通からミレニアムタワーへ歩いてる時に前方から兄さんが歩いてるのが見えた。
駈け寄ろうかと思った瞬間兄さんの隣には冴島が居て俺が見た事も無い笑顔で話していた。
俺はその場から動けなくなって居た。
「桐生ちゃん久しぶりやのぅ?」
兄さんが俺に気付いて話しかけて来た。
「あ…あぁ…兄さんと連絡が取れなくて何か有ったのかと思って沖縄から出て来たんだ」
兄さんはいつも通り
「仕事が忙しかったんや」
一言だけ言ってその場を離れようとしたから
俺は兄さんの腕を咄嗟に掴んで話が有ると一言言って路地裏に連れて行った。
「話ってなんや?桐生ちゃん」
「もう俺たち別れよう…兄さんには冴島が戻って来たから俺はもう用済みだろ…」
泣きそうになったけどそれだけを言ってその場を離れようとしたら兄さんが「ごめんな…桐生ちゃん」
ずっと黙ってた冴島が「桐生はん…すまん…」
それだけでやっぱ2人の関係は元に戻ったんだと確信した。
俺は兄さんから貰って薬指に付けていた指輪を返して2人に別れを告げてその場を離れた。
真島は桐生から受け取った指輪を見てた。
『泣きそうな顔をしていたな…でも、ワシは桐生ちゃんよりも兄弟を…冴島を選んだんや』
数ヶ月後、沖縄に居る桐生ちゃんが大事にしとる遥から電話が来た。
「もしもし真島やけど?」
「真島のおじさん?おじさんが…おじさんが手首を………」
「遥ちゃん、桐生ちゃんが手首をってどう言う事や?」
「神室町から帰って来てからずっと落ち込んでいて…夜も眠れなくなってたみたいなんだ…」
「それで何でワシに連絡して来たんや?」
「だって…おじさんと付き合ってるんでしょ?」
「ワシら…別れたんや」
「えっ…おじさん…病院でずっと真島のおじさんの名前をずっと呼んでたから…電話しちゃってごめんなさい。」
遥はそう言って電話を切った。
『桐生ちゃんが…ワシの名前をずっと呼んでた…?ワシは…』
西田に桐生が入院してる病院を調べさせた。
その間に冴島に電話して会う約束をした。
「兄弟、話ってなんや?」
「冴島…ワシ…やっぱ、アイツが忘れられんのや…」
「なんでや?お前桐生ときっぱりと別れるって言うとったよな?」
「それでも、今のアイツ…桐生ちゃんの側にはワシが居らんと駄目なんや!!」
「そんなに桐生の事が大事か?」
「もう自分の気持ちを隠しとう無いんや!!」
「ほな、わかった…早く桐生の所に行ってやれや」
「冴島……ありがとう」
そう言って真島は急いで桐生の居る病院に行った。
事前に西田から病室を聞いてたので迷わず辿り着けた。
小さくノックしてからドアを開けて中に入ったらいつも桐生の側に居る遥が居なかった。
ベッドサイドまで進んで小さく一馬と呼んだ。
しばらく真島は桐生の寝顔を見ていた。
その時、桐生の目がゆっくりと開いた。
「一馬、起きたんか?」
「にい…さん?」
「ごめんな…一馬の気持ちを考えなくて…」
「いいんだ…兄さんは冴島の側に…」
「ワシな兄弟と…冴島と別れたんや」
「えっ…なんで…俺のせいなのか…」
「ちゃうよ…ワシなずっと一馬の事が好きやったんや…でも一馬を凄く傷つけたんやな…」
真島はそう言うと桐生の唇にキスをした。
「兄さん、もう俺を捨てないでくれ…」
「もう一生離さへん…」
2人はずっと手を繋いで居た。
数日後、桐生は退院をして真島の家で遥と3人で暮らす事になった。