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    Youyu🐾

    @you_encanto3939

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    #Disney
    #TheGreatMouseDetective
    #オリビアちゃんの大冒険

    偏屈探偵と午後のひととき[第二話]現在時刻午後14:38。一匹の小さなネズミの少女が、少女が暮らす街マウストピアから遠く離れたベイカー街までの長い道のりを、両手に大きな鞄を抱えながら、全速力で走っていた。少女が抱えている鞄の中には、高価な煙草、赤ワインが入ったボトルに、真新しい衣類、少々変わった物でダーツの矢が沢山入った箱などが入っている。勿論、そんな代物を少女が使うわけではない。少女よりいくらか歳の離れた友達に贈る為に用意した物だ。
    「大変遅れちゃうわおやつの時間にねって約束したのはわたしなのに」少女は息を切らしながら、ベイカー街へと続く賑やかな商店街を駆け抜けた。

    時刻は午後15:00。なんとか間に合った少女は、下宿の玄関前に掛かっている呼び鈴を鳴らす。鳴らしてから間もなく、にこやかな顔をしたジャドソン婦人が少女を出迎えた。「あらまぁ、いらっしゃいオリビア様、さぁさ、どうぞ中へあがって下さいな。」オリビアと呼ばれた少女は、大声で「失礼するわ」と言い、大広間へとあがった。
    「やぁ、よく来たねオリビアまた会えて嬉しいよ」ニコニコ笑顔でオリビアを出迎えるドーソンに対して、「これはこれは、また会ったなミス・フランバージャム、一体全体何しに来たのかね?」と、バジルは、少しばかりツンとした言い方でオリビアを出迎える。オリビアは、今ではもうお決まりとなった文句を、バジルに向かって言う。「フラバーシャムよ全くもうそろそろわたしの苗字くらい覚えて欲しいものだわ」ぷんぷんと、怒っている素振りをするオリビアを見て、バジルは「すまないね。でも僕なりには、結構覚えている方なんだが。」と、嫌味ったらしく言い、ムッとした顔でお互いに睨み合った。
    (はぁ、バジルも素直に会えて嬉しいぐらい言えば良いのに‥どうせ探偵のプライドがなんだかんだなんだろ?相変わらず偏屈だなぁ、もう‥)とドーソンは中々に偏屈な探偵に呆れつつ、張り詰めた空気を何とかしようと、ジャドソン婦人の肘を付きながら、話を逸らした。「もう15時を過ぎているぞ、あーあー腹が減ったなぁー」「そ、そうですわね。もうおやつの時間に致しましょうか。お二方も喧嘩は止めて、美味しいスイーツを食べませんこと?」睨み合っていた二匹はハッとし、ジャドソン婦人に顔を向け、同時にこくりと頷いた。

    「ほほう。とっても美味しそうなシフォンケーキじゃぁないか。素晴らしいよ、どうもありがとうミス・ジャドソン。」
    食堂のテーブルには、色とりどりのスイーツが並んでいた。バジルはジャドソン婦人の手の器用さに圧倒されつつ、ナイフとフォークを手に取った。「わーどれもとっても美味しそう」オリビアは目を輝かせながら、バジルの隣にいそいそと座った。と、すぐさまバジルは顔を顰めた。「ミス・フレバーフラム、何故僕の隣に座るんだ。ドーソンの隣に座れば良いだろう?」「何よ私がバジルの隣に座ったって良いでしょ?後、わたしはフラバーシャム」オリビアは頑なにバジルの隣から離れようとしない。バジルは、彼なりに優しい言動でオリビアをドーソンの隣にさせようと説得し続けた。

    「それでは皆さん、たんと召し上がって下さいな」
    ジャドソン婦人が遠回しに早く食べろ。とにこやかな笑顔で言う。結局、オリビアはバジルの隣に座ったままだった。
    バジルはくどくどと文句を言いながらも、スイーツをペロリと平らげた。オリビアも平らげ、満足そうに自分のお腹をさすった。
    「ミス・フラバーノール、鼻にクリームが付いてるぞ。全く、行儀が悪いぞ。」バジルは、胸ポケットからナプキンを取り出し、オリビアの鼻を拭いた。オリビアは綺麗に拭かれた鼻を見て、バジルにお礼を言った。「あら、ありがとうバジル。ふふ、あなたって優しいのね。」胸ポケットへナプキンを片そうとしたバジルの手が一瞬、強張った。「あ。あぁ、ま、僕は元から優しいネズミだからね。そう言われるのは当然の事さ。でも‥まぁ‥どうも。」バジルは吃驚した。面と向かって優しいと言われたのは、これが初めてだった。少しばかり思考が停止したものの、すぐさまオリビアに、キザったらしい礼を言った。
    ジャドソン婦人が食器を下げながら、椅子に座って足をバタつかせているオリビアに尋ねた。「そう言えば、オリビア様が持ってきたあの鞄には何が入っていらっしゃるのです?」オリビアは、バジル達にプレゼントを贈ると言う事を思い出し、バタバタと急ぎ足で食堂を後にした。
    バジルはパイプを吹かしながら、オリビアが座っていた席を見つめながら、彼女が持ってきていた鞄の事について推測した。バジルは偏屈者だ。オリビアの事を信用してると言っても、必ずしも疑念を抱かないわけではない。あの鞄には、一体何が入っているのか。毒薬か、拳銃か、はたまた爆弾か。また、あの鞄を持ってきたオリビアも本物のオリビアだとは断定は出来ない。オリビアの変装をした殺人鬼の可能性もあるが、その可能性は限りなく0%に近い。バジルは名探偵であると同時に変装の名人でもある。彼が他人の変装を見抜けないわけが無い。バジルは一人悶々としながら、パイプを吹かさずにずっと咥えていた。そして、案の定、噎せてしまった。「だ、大丈夫かいバジル⁉」ドーソンが吃驚し、バジルに心配の声を掛け、「ゲホッ、ゲホッ、ああ、大丈夫だ‥っ‥お見苦し所を見せてしまいすまないね。」と、バジルが噎せながらも返答したのと同時に、ニコニコ笑顔のオリビアが、大きな鞄を抱えながら、食堂へと戻って来た。
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    偏屈探偵と午後のひととき[第三話]「とても大きな鞄だな、ミス・フラムスティー。なるほど、ドクターズバッグか‥その鞄の中身は一体何だい?」バジルはパイプを片手に、席を立ち、目を細め、背を曲げて、鞄をまじまじと見た後、背筋を伸ばし、鞄を持ったオリビアに尋ねる。ドーソンも席から立ち上がり、自分なりに鞄を観察する。「ふふんまぁ、二人共、あまりの嬉しさで、思わず飛び上がらないで頂戴ね」オリビアはニンマリ顔になり、鞄をポンポンと二度叩き、鞄を開けようとし、「あそうだ二人共、わたしが良いよと言うまで、目を閉じてて頂戴ね絶対よ」オリビアはバジルとドーソンに目を閉じる様に言った。「あぁ、分かったそれじゃぁ今から、目を閉じるね。」ドーソンはすんなりとオリビアの要望に答えた。「何故目を閉じなければならない?別に閉じなくても良いだろう?ははん、さてはミス・フラワージャークは、僕等に見られたくない物品を持ち込んだと言うわけ‥」バジルのなかなかの偏屈ぶりに、ドーソンはまたも呆れた。オリビアは、自分があまりにも信用されていない事に深く傷付いた。オリビアは目に涙を浮かべ、弱々しい声でポツリと呟いた。「全然そういうのじゃないの‥ぐすっ、わたしね、目を閉じて貰いたかったのはね、サプライズみたいにしたかったの‥二人の吃驚する顔が見たかったから‥」オリビアの呟きは皆に聞こえていた。バジルの心は痛んだ。少しバツが悪そうにオリビアの方を向き、「ほら、目を閉じたぞ。さぁ、鞄の中身を教えるんだ。」と少し優しく言った。半泣き状態だったオリビアは、パッと顔を輝かせ、「うん分かったそれじゃぁ見せるわね」オリビアはルンルン気分で鞄の中身を取り出し、テーブルに置いた。目を閉じた二匹は少しの間、何も言わずに立っていた。
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