「サトシのこと、好きだって言ったらどうする?」
笑いながら秘めた想いを告げる。あくまでも軽い調子で、仲間という逃げ道がいつでも使えるように。
「……え?」
戸惑い気味の声に思わず視線を逸らしてしまった。(覚悟はしていたけどやっぱりキツいな。)震える手を握りしめたーーのは、汗ばんだ手。ぱっと目の前の相手に視線を戻して、瞠目する。
「それ、本当?冗談でしたとか仲間としてとかじゃなくて、俺のこと、恋愛的な意味で好きなのか?」
真っ赤な顔のサトシが、必死な様子で言葉を紡ぐものだから戸惑ったのは私の方で。状況の理解が追いつかず固まった私に、サトシはさらに追い打ちをかける。
「俺……俺も、カスミが好きなんだ」
一瞬にして全身の体温が上がったのは、サトシの手の熱が移ったからに違いない。