大学生の薫と女子高生晃牙のパロまだまだ寒い3月の下旬、暦の上では春だって言うのに最近の気象は様子がおかしい。本当にこれから春が来るのか怪しいほどに風が冷たくて未だに衣替えも出来ていない。今日だって中々布団から抜け出せなくて、いつもより早く起きようと思って設定したアラームを止めて二度寝した。結局普段通りの時間にやっと動き出して、こうして客人を迎える準備をしている。
(大事な話……なんだろ)
滅多にメッセージを送ってこない父さんから来た久々の連絡は相変わらず端的で、ただ『大事な話がある。20日、予定を空けておきなさい』とだけ。わざわざ日付も指定してくるなんて一体なにを言われるんだろうと少し緊張してしまって、さっきから壁にかけてある時計をチラチラと確認している。忙しいあの人がわざわざ俺の家まで出向いてくるなんて余っ程のことじゃない限りありえない。なにか悪いことしたっけなぁ…と、良くない話をされる事を前提に頭を悩ませている自分に思わず苦笑して、小さく深呼吸をしながらリビングのソファに座り込んだ。時計の針は10時56分を刺していて、約束の11時まであと僅かであることを示している。父さんのことだから時間丁度か少し前にはインターホンがなるだろうと予想していると、針が一つ進んだタイミングでちょうど軽快なチャイムの音が鳴り響いた。
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