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    れんげ

    @ren_sing18

    https://lit.link/rensing18
    斎永。原稿の進捗とかに表に出しづらいネタとか。

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    れんげ

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    龍神の血を引く一族の子供・永倉と雇われ用心棒・斎藤の和風ファンタジーパロディ(not CP)

    ・キャラの原型がなさすぎる妄想
    ・セリフだけのところと説明文だけのところが入り混じってるプロット未満の文章
    ・設定がふわっとしてる
    ・斎と永の他にはW副長の出番が多め
    ・敵役は伊東さん…?と思いつつ固まってない

     はじとぱち -龍神の子-(仮タイトル)
     
     幼い頃に両親を亡くしたサイトウハジメは自警団のシンセン組に拾われる。シンセン組で剣を学んだサイトウはシンセン組に所属しつつ、用心棒のような仕事を請け負いながら剣一本で生計を立てていた。
     しかしある日任務に失敗し大怪我を負い倒れているところをナガクラ一家に救われる。人里離れた森の中で隠れるように暮らしているナガクラ家と親しくなったサイトウは、任務帰りは家を訪れる習慣が出来るほど心を開くようになっていた。
     優しい両親と自分を兄のように慕ってくれる一人息子のシンパチ。親を早くに亡くし家族というものが分からないサイトウは次第にナガクラ家を家族のように慕い始める。
     いつものように任務帰り手土産を持ってナガクラ家へ向かう途中、目的地の方角から火災の煙が上がっている事に気付く。山火事かと慌てて駆けつけたサイトウの目に映ったのは、燃えさかる家と血を流し息も絶え絶えに倒れているナガクラ家の姿だった。
     呆然と駆け寄るサイトウの腕にナガクラ家の父親は気を失っている子供・シンパチを預ける。
    「この子を頼む。龍神の血を引く子だ、きっと普通には生きられないだろう。けれどどうか幸せになって欲しい」
     両親ともこの場から連れ出そうとしたサイトウだったが複数の人の気配が近付いている事に気づく。三人を守りながら火事の現場で戦うことは不可能だと、怪我の具合から両親の命は長くないと悟ったサイトウはシンパチだけ連れて逃げることを決断する。
     唇を噛み締めながら、託されたシンパチを抱えてサイトウは夜の森の中を走り続けた。
     

     各地を点々と二人で旅しながら「なぜナガクラ家が襲われなければならなかったのか」情報を探っているサイトウとシンパチ。復讐を心に決めて旅を始めた二人だったが喧嘩しながらも次第に絆を深めていく。

     
     情報集めに行き詰まったサイトウは自分の家でもあるシンセン組の屯所へシンパチを連れて帰る。
    「三日で帰ると報告を寄越しておきながら一年音信不通とはいい度胸じゃねぇか」と副長のヒジカタをぶち切れさせたり、そんなヒジカタの顔を見て「お、鬼……っ!」とサイトウの後ろに隠れ怯えるシンパチとショックを受けるヒジカタ、「仕方ないですよ、ヒジカタさん顔が怖いんですから」とフォローどころか傷を抉るオキタ、「サイトウくん、いつの間に子供が……?」とシンパチの手にお小遣いを握らせる総長ヤマナミが居たり、と久しぶりの我が家にツッコミ疲れするサイトウ。
    「ここがサイトウの家……」ヤマナミに屯所を案内されながらサイトウの昔話を聞くシンパチ。
    「自分が居なければサイトウはここで楽しく暮らしてたのかな……」と不安を溢すシンパチに、「サイトウくんが連絡を絶つことは今までなかったんだ。それはきっと君を守るため。君が思う以上に、サイトウくんは君を大切に思っているんだろう」と優しく諭してくれるヤマナミにシンパチが子供らしくはにかんだ笑顔を見せる。
     ヤマナミに屯所を案内された後なぜか上機嫌になったシンパチを不思議に思いながらヒジカタと情報共有するサイトウ。
    「龍神の子」という単語に反応し、こんな言い伝えがあると昔話を始めるヒジカタ。曰く、天候を操り空を飛び人々に祀られる一族が居たのだと。ナガクラ家がそれにあたるのか、その調査も必要かと眉を寄せるサイトウ。
    「……復讐する気か。あの子供から家族を奪った奴らに」
    「そんな大それた事しませんよ。……あいつがどこかで、けじめを付けられたらそれで良い。まあ、任されちまったからには立派に育ててやんねぇと、とは思ってますけどね」
    「一丁前に言うようになったじゃねぇか。いつでも帰ってこい、ガキ一人増えたところで構いやしねぇ」
     ヒジカタの話を聞いて、いつか旅が終わったらここでシンパチと暮らすのも良いなと、生きてきて初めて楽しい未来に思いを馳せるサイトウ。


     引き続き龍神について情報を集めると屯所を出て再び旅だった二人だったが、道の途中不審な者たちに囲まれてしまう。シンパチを庇い応戦するサイトウだったが数で押されシンパチを人質に取られ取り押さえられてしまう。
    「やっと見つけた、龍神の末裔」
    「そいつに触るんじゃねぇ!」
     首魁の男に腕を掴まれ怯えるシンパチの姿に怒りを露わにするサイトウ。
    「ああ、安心して欲しい、傷つけるつもりはないから。これでも君には感謝しているんだ。人の世から隠れて暮らしていた一族を見つけられたのは、君のおかげなんだから」
    「……は……なに、言って……?」
    「誰も暮らしていないはずの山奥へ通う男の噂は調べるに値する情報だった、という事さ。先に情報を仕入れたのは他の部隊でね、まあ交渉もせずに襲撃するとは思わなかったけど」
    「……俺が、あの家に向かったから……?」
    「なに、今となっては些細なことだ。結果的に貴重な血を失わずに済んだのは君のおかげだよ、サイトウハジメ」
    「……俺の、せいで……二人は死んだ……?」
     自分がナガクラ家と関わりを持ったせいでシンパチの両親は死んだのだと動揺するサイトウ。
    「そんなことない! 父さんも母さんもサイトウが来るのを楽しみにしてた! サイトウのせいじゃ――痛っ!」
    「さあ、お喋りはここまでにしよう。……連れていけ」
     シンパチの腕を強引に引き部下に引き渡す。
    「離せっ! サイトウのせいじゃないっ、サイトウは……っ」
    「シンパチ……」
     泣きそうな顔をしながら引きずられていくシンパチを押さえつけられたまま見送ることしか出来ないサイトウ。空に黒い雲が広がり雨が降り始める。
    「君が考えているような酷いことは起きないさ。今より贅沢な暮らしをさせると約束しよう。龍神の子供には健康で長生きしてもらわないとね。……力を覚醒させられれば、の話だけど」
     ポツリと呟いて首魁の男が去っていく。
     やっと解放されたサイトウは遠くに放り投げられた刀を何とか拾い、ずぶ濡れで刀を握りしめたまま立ち尽くす。
     贅沢な暮らしが出来るならその方が幸せじゃないか、両親を死なせた原因の自分と居るよりもきっと幸せになれる。
     自問自答のように言い訳を頭の中に浮かべ、「……それが本当にあいつの幸せだとでも?」鋭い目つきを取り戻す。


     囚われた部屋で食事にも手を付けずぼーっとして過ごすシンパチ。
    「いつまでそうしているつもり? あの男は迎えに来ない。それなら、この場所で上手く生きる方が懸命じゃない?」
     無視をするシンパチに「……食べさせろ」と部下に命じ無理やり食事をさせられるシンパチ。
    「食べ終わったら薬もちゃんと飲むんだよ。龍神の力を大勢が待っている。君には早く目覚めてもらわないと」
    (……サイトウがきっと迎えに来てくれる。それまで堪えないと)
     ……本当に来てくれるのか? サイトウには帰る家がある。危ない目にあってまで助けに来る理由なんて……
     部屋の隅にうずくまり涙を堪えるシンパチ。


     屯所に辿り着くなりヒジカタとヤマナミの前で倒れるように膝をつくサイトウ。大雨に打たれずぶ濡れで刀一つのみ持った姿にヤマナミが慌てる。
    「サイトウくんその姿は一体……それにナガクラくんは? ……まさか」
     無言で唇を噛み締めるサイトウの様子で察して駆け出そうとするヤマナミとそれを引き止めるヒジカタ。
    「そんな、早く捜索を――」
    「落ち着け、ヤマナミ。……サイトウ、なぜすぐ助けに向かわなかった」
    「ヒジカタくん何を言っているんだ、こんな姿になって一人で救出に向かえるわけがない」
    「いいや、お前なら出来たはずだ。なぜそうしなかった」
     問いただすようにサイトウを睨みつけるヒジカタ。
    「……確かに、シンパチ一人を連れ出すだけなら俺一人で十分です。けど、それだけじゃこの先ずっと、あいつは誰かの影に怯えて生きていかなきゃならない。……幸せにしてやるって決めたんだ、だから――……俺に力を貸してください。組を除名になっても良い、どんな対価でも払って見せるから、頼みます……」
     頭を下げて頼み込むサイトウの姿にふっと笑みを見せるヒジカタとヤマナミ。
    「よく言った。……あの日拾われたガキが大きくなったもんだ。ヤマナミ、出撃準備だ、動ける奴は全員連れ出せ! シンセン組、出るぞ!!」


     膝を抱えて俯いていたシンパチが外の喧騒に気付き顔を上げる。
     バンッと部屋の扉が開かれ首魁の男に部屋から連れ出されるシンパチ。楼閣の最上階、雨風が吹き込む通路で刀を抜いたサイトウが立ちはだかる。
    「サイトウ……!」
     サイトウの姿を見つけたシンパチがパッと表情を明るくする。シンパチに目立った怪我がないことを確認して微笑み、首魁の男を睨みつけるサイトウ。
     シンパチの感情に呼応するかのように大雨が一瞬で止み、黒い雲があっという間に空から消えていく。
    「これが龍神の力……! これさえあれば……!」
     刀を突きつけるサイトウにシンパチを人質にして交渉する男。
    「サイトウハジメ、君のことは調べが付いている。幼い頃に戦災で親を亡くしたんだろう? あの戦は飢饉さえなければ起きなかった。僕の家族もあの戦争に巻き込まれて死んだ。君なら分かるだろう? 天候を操るこの力があれば飢饉は起きない、飢えに苦しむ者は居なくなる! 多くの命が助かるんだ!!」
    「……だから? それがどうしたって?」
    「この子供一人の力で大勢が幸せに暮らせるんだ、なぜそれが分からない!!」
    「わかんねぇよ、わかりたくもねぇ。大勢の幸せ? そんなもん知るか! そこにシンパチの幸せは含まれてねぇだろうが!」
    「サイトウ……」
     男の腕に囚われたまま涙を滲ませるシンパチ。
    「龍神だの子供だの、ずっと気に食わねぇと思ってた。そいつにはな、ナガクラシンパチっていう親から貰った大事な名前があるんだよ!!」
     シンパチが男の腕に噛みついた隙をついて切り掛かることに成功するサイトウ。
     しかし倒れかかった男がシンパチを突き飛ばし、飛ばされたシンパチが欄干から投げ出されてしまう。
     とっさに欄干を飛び越えたサイトウがシンパチを捕まえて一緒に地面へ落ちていく。自分が下になるよう背を丸めて小さな体をぎゅうっと抱きしめるサイトウ。
    「シンパチ……っ」
     お前が生きていられるなら何だっていい。俺はどうなったって構わない、だから――
     地面にぶつかる寸前、ふわっと体が浮き上がり呆気に取られるまま背中からゆっくりと着地するサイトウ。腕の中でふわふわと浮いていたシンパチもゆっくりとサイトウの上に降りて瞼を開く。
    「お前、今飛んで……?」
    「――サイトウッ!!」
     サイトウに抱きつくなり声を上げて泣き出すシンパチ。目を見開いたサイトウも顔を歪めて抱き返す。
    「……さ、早くここから逃げねぇと」
     建物の門前に到着したヒジカタ達の姿を見つけシンパチを立たせるサイトウ。門へ向かうと二人の姿を見たヒジカタが目を細める。
    「……戻ったか。こっちの分は終わった。残りはすでに隊を派遣してる」
    「さすが副長。……ヤマナミさん、」
    「……ああ、ナガクラくん、こちらへ」
     サイトウに背を押されヤマナミの手に引かれた直後、シンパチの背後で格子状の門扉は閉まる。
    「……え?」
     振り返ったシンパチの目に微笑むサイトウの姿が映る。
    「なんで……サイトウ……?」
    「俺はまだやらなきゃなんねぇ事があるからさ、副長たちと先に帰ってな」
    「ッ嫌だ、サイトウも一緒に……!」
     格子にしがみつき手を伸ばすシンパチに、サイトウは微笑んで地面に片膝をつける。
    「ここで逃したら、奴らはまたお前を狙いに来る。……ごめんな、遅くなって。捕まって怖かっただろ」
    「サイトウが居ればそんなの怖くない……! だから……っ」
     格子の隙間から手を伸ばしてシンパチの涙を拭ってやるサイトウ。
    「心配しなくて大丈夫だって。絶対に帰るから、待ってて」
     すがりつくシンパチの手を外して立ち上がったサイトウが背を向ける。
    「……あとは頼みます、行ってください」
     サイトウの声掛けで泣き崩れるシンパチを連れてヤマナミ達が遠ざかっていく。晴れ間が見えていた空は一瞬で黒い雲に覆われて大雨が降り出す。
    「……ああ、この嵐ならきっと上手く逃げ切れるな」
     微笑むサイトウの頬に雫が伝う。


     時は流れて、屯所で暮らすようになったシンパチは毎日朝から晩まで屯所の門に座り込み人を待っていた。
     日が暮れて座ったまま疲れて眠ってしまったシンパチの前に人影が立つ。
     ヒジカタとヤマナミが居る室内へ笠で顔を隠した男が眠るシンパチを抱えて現れ、身構える二人。ところが笠を外すなり二人ははっと動きを止める。
    「サイトウくん……」
    「どうも、お久しぶりです」
     頬に傷をつくったサイトウが片手の笠をひらっと振る。
    「……もう行くのかい」
     ヤマナミの腕にシンパチを預けるなり踵を返すサイトウに声をかける。
    「たまたま近くに寄っただけなんで。いやあ、まさかこんな大規模な組織だったとはね。時間がいくらあっても足りねぇや」
    「サイトウくん、もう一度考え直して欲しい。ナガクラくんは一人で屯所の外へ出ようとしないし、見慣れない顔を見かけたら私たちの元へすぐ報告に来る。君の願いを無駄にしないよう精一杯頑張っているよ。……本当に、側で見守ってあげることは出来ないのかな」
    「何も気にせず、自由に生きられるようにしてやりたいんです。誰の顔色も気にせず一人で出歩けるようにならないと、本当の幸せには程遠いでしょ」
    「けど……」
    「もうやめとけ、ヤマナミ。サイトウが頑固なのはよく分かってんだろ。言って聞くようなら、こいつは今こうしてここに居ねぇよ」
     そう言ったヒジカタが眠るシンパチの頭を撫でるのにつられて、一瞬手を伸ばしたものの手を引っ込めて微笑むサイトウ。背を向けて再び屯所を去っていく。
    「……サイトウくんは必ず帰って来るよ」
     そう呟いたヤマナミの腕の中で、眠った振りをしていたシンパチが嗚咽を漏らす。
    「だからここで帰りを待っていよう」


     さらに時は流れて、少し大きくなったシンパチが真昼間に屯所の方へ真っ直ぐ歩いてくる人影を見つけて立ち上がる。
     雲ひとつない青空の下で、待ち侘びた姿に手を振った。
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