文披31題・夏の空閑汐♂祭:Day15「――っとと、」
吉嗣の声と共にグラスの縁から溢れ出そうになる泡を見ながら、汐見は呆れたようにため息をひとつ。そんな汐見の反応を横目で見ながら「業務時間外なんだから良いだろ」と吉嗣は肩を竦めた。
「いやまぁ勝手にすれば良いと思いますけどね。テストの採点を俺に押しつけて置きながら自分は酒すか」
呆れ声で返された汐見の言葉に、吉嗣は上機嫌でカラカラと笑う。
「だってお前出来ちゃうだろ。答案は用意したし、お前そのテストで満点取ってたんだし」
「ヒロミだって満点だった筈なんすけどね」
「空閑は寮長会議に引っ張られてんじゃん。空閑が居ないとお前暇だろ」
赤い水性ペンをキュ、と鳴らしながらテストの採点を進めていく汐見は眉を寄せながら再びのため息を零していた。
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