君とふたり高校生になって新生活が始まってから。気がつけば一年が経っていた。仲の良かった友人と同じ高校に通えているから、なんだかんだ言って初の高校生活は楽しかった。他の男友達といても楽しいけど、やっぱり中学校の頃からシュウヤといる時が一番楽しい。
それが純粋な友情だけじゃないことに気づいたのは、つい最近の話。
シュウヤに誘われて、彼の家に泊まることになった。正直ちょっと緊張している。だって、自分の新しい感情に気づいたばかりだったから。
昼頃から、シュウヤとゲームをして遊んでいたら、15時頃にシュウヤのお母さんが買い物に出かけて行った。お父さんは出勤しているらしい。
それって、実質、二人きりなんじゃ・・・
「ハヤテ、こっち来て」
急に名前を呼ばれて慌てて振り向いた。シュウヤは壁際の自身のベッドに座って僕を呼んでいた。
「何?どうしたの?」
「いいから来て」
変に意識してしまって、どうしようか迷っていたけれど、シュウヤの声が妙に力強くて、抗えなくて、大人しく彼に近づいた。
シュウヤと目があったと思った瞬間、
「わっ・・・」
急に腕を引かれて体制を崩した。そのままベッドに乗せられて壁に背を押しやられる。軽く手首を掴まれて壁に縫いつけられた。
「シュウ、ヤ・・・?」
自分の心臓がうるさいくらいにドキドキしているのがわかった。
シュウヤの顔が近づいてきて、彼が静かに告げる。
「嫌だったら、抵抗して」
「何、シュウ・・・んっ、」
唇に柔らかいものが触れた。シュウヤとキスしているんだと理解するのに、そう時間はかからなかった。それが離れる気配はなく、じんわりと熱が伝わってくる。
「ん・・・ふ、ぁ、待っ・・・」
それは何度も繰り返される。優しく、しかし確かに、熱を孕んで。
嫌だったら抵抗しろなんて、させる気はないくせに。俺が拒まないってわかってて、逃げ道をつくらせる気なんてないくせに。
ホント、酷い人だよ。君は。
僕が・・・押し返せるわけないのに。
息が苦しくなってきて、生理的な涙がうっすらと膜をはる。こぼれそうになったそれは、そっと拭われた。
手首の拘束がとかれて、きつく抱きしめられる。
「ハヤテ・・・好きだ」
耳元でシュウヤが囁く。僕はそれに、ぎゅっと抱きしめ返すことで答えた。シュウヤが嬉しそうに笑う。
「ン・・・」
再び口を塞がれる。奪われる空気も、触れる温もりも、苦しくなるくらい幸せだった。