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    hanadaao_land

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    hanadaao_land

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    書きかけ2 キスの日ネタ
    うぶらぶ書きたかったやつ まだなんもはじまらん

     両片想いがいちばん楽しい、なんて聞いたことがあるけれど、付き合いたてというのもなかなか楽しい時期なんじゃないかと思う。だって、頬を染めて眉を寄せながら「好きです」と言ってくれた表情も声もまだしっかり脳に焼きついていて、思い出すだけでかぁっと頭に血が上るほど恥ずかしくて、でも、信じられないくらいにしあわせだから。
     そんな、誰にも言えない感情を抱えたまま浮かれた私に更なる追い打ちをかけようとするのは、やっぱりジュンくんだった。

     迷惑だったら、言って欲しいんですけど。そう前置きされた後に送られてきたメッセージを既読がつかない形で確認してから、もうどれくらいの時間が経っただろう。……だって、「ふたりきりで会いたい」なんて、そんなの。いまだ、告白してくれた時のことを思い返しては真っ赤になって、ちょっとしたメッセージのやり取りが楽しくて、たまに仕事で見かけるだけでちょっとぼんやりしてしまう私には、少しだけ刺激が強いような気がする。……でもやっぱり、うれしいのはうれしい。当たり前に。
     返事に悩んで、たっぷり時間をかけてから返した「私も」の言葉にはすぐに既読がついて、一分もしないうちに次のオフの日が送られてくる。きっとオフの日を確認して、送信欄に打ち込んだまま待機していたんだろうジュンくんのことを考えて、きっと好いてくれているというよろこびと恥ずかしさとしあわせと、でむずむずとした気持ちになりながら、私はスケジュール帳を開いた。



    「……えっと、いらっしゃい」
    「……お邪魔します」

     ドアを開けた先、キャップとマスクで顔を隠したジュンくんを確認して、すぐに迎え入れて鍵をかける。鍵から顔を上げた先、見上げたジュンくんはキャップとマスクを外すところだった。その視線が私の方へ向いて、どきりと心臓が跳ねる。……そう言えば、告白されてからふたりきりになるのははじめてだ。

    「……すんません、お邪魔することになっちゃって」
    「え、全然いいよ」
    「これ、手土産です」
    「そんなのいいのに。……でも、ありがとう。あとで一緒に食べよう」

     はい、と頷いたジュンくんを、部屋の中へと招き入れる。綺麗に掃除したつもりではあるけれど、自分の家の中を見られるのは緊張するなぁと思う。それが好きな人からの視線となればなおさら。

    「……なんか変なものある?」
    「……あ、すんません、じろじろ見て。その、変なものがあるっつぅか、新鮮だなって。女の子の部屋って感じで落ち着かないっつぅか」
    「そう、かな」

     改めて見回してみれば確かに、パステルカラーを基調としていたりぬいぐるみがあったりするのは『女の子らしい』のかもしれない。……と言うか、子どもっぽいと思われていたらどうしよう。

    「……あ、の。その、ぬいぐるみとか、子どもっぽいって分かってるんだけど……」
    「? そうですか? オレは子どもっぽいとかあんま分かんねぇですけど……」

     好きなもの置いとけばいいんじゃねぇかって思いますけど。あんずさんの家なわけですし。
     そうからっと言って笑ったジュンくんに心が軽くなって、あぁ好きだなぁと思う。ジュンくんのこういう、人のことを否定しないところが大好きだ。

    「……ありがとう」
    「んー? いえいえ……?」

     今お礼言うとこありました?と首を傾げるジュンくんを尻目に、お茶を淹れようと立ち上がる。


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    hanadaao_land

    MOURNING多分出すことないからちょっとだけ出しちゃう また消しますが 結婚するジあの一部
    しあわせへの道程 決意とか覚悟とか、そんなものを決める前にはじまったジュンくんとの交際関係が、もうすぐ三年になろうという頃。私の年齢はいわゆる「結婚適齢期」という時期を迎えようとしていた。
     周囲の友人には結婚や出産をしている人もでてきて、いい人とかないの、なんて言われることも珍しくなくなってきた。それでも、私にとってはまだ先のことで、イメージなんて全然できなくて──でも、もしこの先結婚することがあるのなら、その相手はジュンくんなのかな、なんてことを考えることがなかったと言えば嘘になる。そんな頃。

     ジュンくんの隣で寝ている時に、手を握られることが多くなった。多くなったと言うか、始まったと言うか。それまでだって確かにそういうこともあった気がするし、最初に気がついた時は外で気軽にそういうことができない分、うれしいなとか、しあわせだなとかいう気持ちがあった。でも、隣で眠る度ほぼ確実と言って良いほどの確率で手を握られて、と言うか、もっと言えば何かを確かめるみたいに指を触られれば、もしかしなくても「そういうこと」なのかな、と思い至ることはあった。でもそれをシンプルに「うれしい」と思っていた時点で、最初から答えは決まっていたようなものだと思う。
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