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    ヲしお

    @310osio
    メモとかプロット、デジタル(ペンタブ&クリスタ)自主練とか。
    ※一次&二次創作、今は二次創作が多いです。

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    ヲしお

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    2021/02/04_2:11
    ひらブーへ投げる用。続きはまた明日~

    ★1 2021/02/04_2:11

     今週の仕事をすべて終えて、会社のビルを裏口から出た。
    「……さむ……」
     キンと冷えた空気に、思わず肩を窄める。
     昼間の日溜まりは過ごしやすくなってきたというのに、大陽が落ちればやはりこの季節は寒いのだ。
     春が立つ、なんて字面のくせに、全くもって暖かくない。
     空を見上げれば星がくっきりと輪郭を保って輝いていて、2月の始めなんてまだまだ真冬なのだと思い知らされた。

     駅へ向かう道すがら、観音坂独歩はポケットから携帯電話を取り出した。慣れた手付きでアドレス帳を開き、目当ての番号へ発信する。
     4コール目の途中でぷつりと小さな音がして、相手が電話口に出た。
    『こんばんは、観音坂さん。終電、間に合いそうですね』
    「はい、なんとか。入間さん、もしかして寝てました……?」
     普段ならもっと早く電話に出るのに……と思いながら独歩が言うと、入間銃兎は「夜勤明けなのでちょっと仮眠していました」と答えた。
     入間の勤務スケジュールを独歩ももちろん把握してはいた。しかし、不規則な時間に働く者同士、都合良く通話できるタイミングというのはこんな僅かな時間帯しかないのだ。
    『観音坂さん。申し訳ないのですが、明日は電車でこちらへ来てもらえませんか?』
    「えっ……? あ、えっとー、別に構いませんけど。ていうか、いつも迎えにきて頂いてる身ですし、それくらいは!」
     あなたが家を出るときにまた連絡をくださいと入間が締めて、通話は終了した。
     明日になれば、恋人と会える――。
     光源の落ちた画面を見つめ、独歩は笑みをこぼす。
     寒さのせいだけではない耳の火照りを感じながら、足早に駅へと急ぐのだった。
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