逃げ水の君見上げた空のちょうど真上から、太陽が容赦なく脳天を焦がしに来る。
念のためと思ってコンビニで購入したフローズンドリンクはすっかり溶けてしまった。
田舎の、畑を分断する直線道路が珍しいからと言って、好奇心でバスを降りてはいけないと、茹だる脳内では後悔がしたり顔で腕組みをしている。
うるせぇわかってんだよ黙ってろと自分の脳内で自分が生み出したイメージ画像に悪態をつくと、宇佐美リトは日除けよりもファッション性重視で被っていた帽子を、なるべく目深に被りなおした。
日差しも強いが、足元から立ち上る熱気も加わり、そこに居るだけでじわじわと体力が削られていく。
次のバス停まで歩こう。
都市部の道端に有る、土台にポールだけが設置されたバス停と違い、この辺のバス停はポールのすぐそばに休憩所のような小屋が併設されていることが多い。
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