時を刻む音「おい、エウリノーム」
「なんだ」
「なんだは俺のセリフだよ!なんだよさっきから」
「知らん」
「オマエから抱え込んできて知らん訳ねぇだろ」
「分からん」
「こんの……!」
「分からんが今俺はこうしていたい、と思ったのだ」
「はぁ?意味わかんねー」
「……嫌、か?」
「べ、別にそこまでは言ってねぇけど」
「なら構わんだろう」
「……なんつーか、あったけぇ。
あったけぇし、こうしてるとオマエの音がよく聴こえる。俺よりゆっくりなんだな」
「ほう?頭の位置の関係か」
「あ?低くて悪いかよ」
「何故そう言葉尻を悪い方に捉える」
「るせーな……え、今度は何」
「俺もオマエの音が聞きたくなった」
「く……くすぐってぇよ」
「なるほど。確かに俺よりも相当速いな」
「普段はここまでじゃねぇって!なんかあったけぇな、って思ってたら速くなった」
「フフ……こうやって距離をゼロにするというのも悪くない」
「まぁ、確かに悪くはねぇ、かも」
「そろそろ時間か?俺は昼からキャラバンの荷下ろしの手伝いを頼まれている」
「あ、そうなの?俺はその後の護衛」
「麓の村までか」
「そ」
「戻りは遅くなりそうだな」
「あ!帰ってきたらよ、久々に一戦どうだ?最近遊んでなかったよな」
「ペリビットか!いいだろう。受けて立つ」
「よっしゃ楽しみになってきた!叩きのめしてやるからな」
「出来るものならな」
「へっ、言ってろ!じゃ、またな」
「あぁ。また後で」