Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    b_osm1231

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 19

    b_osm1231

    ☆quiet follow

    こんちゃんヘビのお向かいに住む、りさんのきつねの話です(白蛇の前日譚)

    #腐向け
    Rot
    #二次創作
    secondaryCreation

    きつねのお嫁入り寒い雪の朝だった。
    かりかり、かりかり、と戸を引っ掻く音がする。
    ただ、外の猟犬たちは吠えていない。
    猟師は鉄砲を構えて、少しだけ戸を開ける。
    細く見える銀世界の中に、きつねが行儀よく座っていた。
    「ごきげんよう」
    はしばみ色の綺麗な毛並みに、尻尾が何本もあるきつねであった。
    「入れてくださいよ」
    と、きつねは綺麗な声で言う。
    「隙間風が寒いでしょう? あなた」
    「まぁそりゃあ」
    猟師は戸を開けて、きつねを入れた。
    「にしても綺麗な白い毛並みですね。艶々でさらさら」
    きつねは土間にちょこんと座って、猟師の髪を見上げる。
    「神さまなのに、こんな貧相なところでお暮らしになるの?」
    「神さま?」
    猟師は言いながら、藁で編んだ円座を囲炉裏の前に置いた。円座以上の贅沢な品がこの家にはない。
    「知り合いのヘビにね、聞いたんです。銀糸のように綺麗な髪の、わんわんを連れた男の人が最近お山に来るけれど……って。そしたらね、それはお山の神さまですって言うんですよ。まぁ冬のヘビはいつもとんちんかんなんですけどね」
    きつねは円座に上って来て、その上でくるりと丸くなった。
    猟師は囲炉裏の向かいに座って、炭を火箸でつつく。
    「神さまがね、クマやウサギなんかの毛皮を着てはいけませんよ。ごわごわですから」
    「はあ」
    きつねは青い綺麗な目で、猟師を見つめる。
    猟師は首を傾げた。
    冬の山でいつも羽織っている毛皮を言っているのだろうか。猟師としては質の良い毛皮と思っていたのに、なかなか手厳しいことを言うきつねである。
    「お寒いでしょう。お膝に乗せますか? きつねの冬毛はね、ふわふわであたたかいですよ。クマなんかと違って」
    「あ、ああ」
    気位の高そうなきつねに男は頷いた。
    と、きつねは女の姿になった。はしばみ色の長い髪で目尻に朱の化粧をした、たいそう別嬪な女である。
    「お前」
    女は、ぺたりぺたりと猟師の隣へ歩いて来て、ぺとんと座った。
    「そりゃあ都のふしみでお勤めしてきたきつねでございますから……神さまにお似合いの姿にもなれます。頭を撫でてごらんなさいな」
    女は猟師の膝に頭を乗せる。
    猟師は女の頭に恐る恐る手を伸ばす。
    「もうちょっとしっかり撫でてくださいよ。おてて、あるんでしょう?」
    「ああすまない」
    確かにはしばみ色の髪は、恐ろしく肌触りがいい。
    「ゆっくりゆっくり、毛の流れに沿って撫でてください。両方のおててで」
    はいはい、
    猟師は女の頭を撫でる。
    「どうです? 夢見心地でしょう?」
    女は自信たっぷりに言って、くうん、と幸せそうに鳴く。
    「いや……でもこういう上手い話は……」
    「きつねだからって化かしたりしませんよ? 好きで来たんですから……きつねはとってもあったかいでしょう?」
    「ああ、とても」
    「そうでしょうとも。私は霊験あらたかなきつねですから」
    女は嬉しそうに目を細めた。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    💗❤❤❤❤❤☺☺☺💯
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works