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    yu__2020

    物書き。パラレル物。
    B級映画と軽い海外ドラマな雰囲気になったらいいな

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    yu__2020

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    ヤンパリ風のゲーム生物のイドとゲームを遊ぶショタアズのイドアズ。
    ゲームプレイ編2 ピクニックで他の人と遊ぶのを嫌がるヤンパリ達(かわいいの姿)をイメージ。

    ##ヤンパリ

    ピクニックとモンスター「なあ、あのモンスター手に入った?」
    「ああ、あれ?」

     ――あ

     耳に飛び込んできた声に、アズールは思わず視線をさまよわせた。
     放課後の廊下で、知っているような、知らないような声が盛んにゲームの攻略について会話をしているようだ。立ち止まって振り返ってみるが、固まって歩いている子供達の中、誰がその話をしているかは分からなかった。
     そもそも、声をかけたところでアズールとまともに会話などしてくれるか。
    「……」
     そこまで思い至り、アズールは前を向いて歩き出した。

     家に帰り、アズールはいつものように帰ってすぐの宿題と勉強をして、母が用意していった夕食を温めて食べ、一人でシャワーを浴びて部屋に戻った。
     静かな家の中を歩き、自分の部屋に戻ってアズールはゲーム機に手を伸ばした。
     この間のテストの成績もそこそこ良くなってきていたおかげか、わずかに自信がついたアズールは、ちょっとだけなら大丈夫だろうと時計を見ながら、昨日の続きから始めようと画面を開いた。
     ――えーっと、昨日は確か……

     アズールはセーブを呼び出し、昨日の続きから始めることにした。
     画面には街へと移動する為の街道と、そのすぐ脇にある休憩ポイントが見えた。ここでチュートリアルを聞いてセーブをしたのだったか。アズールは思い出して、キャラクターを操作して歩き出した。

    「あ、アズール帰ってきたー」
    「おそーい」
     閉じられたリュックの蓋が勢いよく開いて、ぽんとボールから出る効果音と共に二匹のモンスターがアズールの前に現れた。
     魚とは少し違う尾びれに、そっくりな見た目の二匹だったが、最近よく見ているせいか二匹の違いがよくわかってきた。
    「おなかがすきました」
     つるりとしたおなかを押さえ、ぎゅうぎゅうとアピールをしてくるのは、少しばかりつり目のモンスターで、何故か既に名前が付いていた。
    「ジェイドは食いしん坊ですね」
    「ぎゅう」
    「ねえねえ早くー」
     しょぼくれたジェイドの脇で、ジェイドと似た、こちらは垂れ目のモンスターがぴょんぴょんとアズールの周りを跳ね回り早く早くと急き立てる。
    「フロイド、ちょっと待ってください。少し先でピクニックをしましょう」
     アズールがそう言って走り出すと、二匹は後を追ってどういう理屈かぴょんぴょんと跳ねてアズールの後を付いてきた。
     マップにはいくつか他のモンスターの影が見え、アズールは今度こそどれか捕まえようかなと捕獲用のアイテムの数を確認した。
    「おらどけ!」
    「邪魔ですよ」
    「え」
     ばしんばちんと勝手に二匹のモンスターがマップ上で動き回る他のモンスターに飛びかかり、アイテムがボロボロと落ちていく、ついでに経験値もどんどん溜っていき、少し走るだけであっという間に二匹のレベルが三回ほど上がってファンファーレが鳴り響いた。
    「あー! またモンスター全部いなくなった!」
     思わず叫んだアズールに、何故か二匹はその場にコロリと転がり、何のこと? というようにぴちぴちと尾びれを振った。
    「ぎゅー?」
    「くるー?」
     画面の向こうの二匹に、アズールはため息をついてもう一度説明所に目を通した。
    「はあ……」
     何度読んでもオートバトルの設定は切っているはずなのに、何故か二匹は勝手に飛び出していってマップに存在するモンスターを全てなぎ倒してしまう。
     これでは別のモンスターを捕まえる事は無理ではないだろうか。
     新しいモンスターがいれば通信交換という手もあるが、二匹のどちらかを手放すというのはいやだった。
    「まあいいや」
     しょうが無いとアズールはレベルがどんどん上がっていく二匹を眺め、先にさっさと進めるか、と街道を道なりに進んで少し開けた場所に移動した。
     ここなら良いだろうと、メニューを開いてピクニック道具を展開する。
     まだあまりカスタマイズはしていないが、好きな色と、二匹のカラーに合わせたカップや皿が並び、おやつを作るミニゲームをしようとテーブルに立ったアズールの両脇に、顔を出した。
     コミカルな音楽と共に具材を並べて慎重にデコレーションをして完成させると、二匹がぴょんぴょんと両手を叩いて喜び、ガツガツと食べ始める。
    「えーっと、ピクニックではなつき度が上がるんだっけ」
     アズールが眺めていると、おやつを食べ終えた二匹はぽわぽわとハートマークが飛び、画面に向かってぴょんぴょん跳ね飛び手を振った。
    「ふふ」
     思わず笑みを浮かべたアズールは、ちかちかと通信が光り、誰かが一緒にピクニックをしようと申請をしてきたのに気付いた。何しろ初めてのことだったアズールは、慌てて説明所に目を通そうとして画面から目を一瞬離した。
    「えーっと、ピクニックを一緒にする場合は……?」
     ぴこん、と音がして、何だろうと視線を戻すと、先ほどまで機嫌が良かった二匹がくったりと地面に伸びて不満そうな顔でピクニックに誘ってきたどこかのプレイヤーを眺めていた。
     なつき度が低いとそういう事もあるのだろうか。
     シャーシャーぐるるると威嚇する二匹に、アズールはうーんと困って思わず申請を断るボタンを押し、ため息をついた。どこかのプレイヤーのアイコンがぱっと消えると、二匹は再び機嫌良く飛び跳ね、アズールのキャラの周りをくるくると走り始めた。
    「ボール遊びする?」
     アイテム欄からボールを取り出すと、二匹はきゅうきゅうと両手を叩いて喜び、アズールはわずかにほっとしてボールを放り投げた。
     ぽてぽてと取りにいって戻ってくる二匹を眺め、アズールはこのゲームってこういうものだっけ? と首を傾げていた。
     


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