はぐれもののけだまたち さくさくと雪を踏みしめ、慎重に歩いていた獣は匂いを嗅いで、仲間に告げるように空に向かって遠吠えをあげた。
少しすると木立の向こうから同じような遠吠えが答え、雪を踏むような音と共に姿の似た獣が現れた。
「ごめーん」
「気をつけてくださいね」
二頭だけの群れは、雪の中を並んで歩き、さて困ったと辺りに目をやった。
「何あれ」
「鳥、ですかね」
二頭の狼は、そっとそれに目を向け近寄った。
雪の上にぽつんと黒いものが突き出ていて、彼らはすんすんとそれに鼻を近づけ、前足で小突いた。
「びぎゅー!!」
ぼん、と雪玉が飛び出し、顔を近づけていた一頭の顎を直撃し、雪玉はひゅんひゅんと二頭の上を弾けるように飛び跳ねた。
「うわーびっくりしたぁ」
1978