イチコロ 魔法薬専門店で商品を眺めていると、カウンターで店主と女性客が声を潜めて会話をしている。
(……………………)
(……イチコロですよ…………)
盗み聞きするつもりはなかったけど、ついつい耳をそばだててしまう。
その客が帰った後で店主に詰め寄った。
「聞こえたわよ、私にもその薬を売ってもらえるかしら」
「まいったなあ」
少し渋られたけどなんとか売ってもらえた。
セラヴィーはティーカップを持つと眉を少し上げる。
「いつもと違う香りですね」
「そ、そうなの。新しいブレンドを買ってみたけど、どうかしら」
「……ふうん」
意味ありげに返事しながらも、紅茶に口をつけた。
セラヴィーの作った焼き菓子を食べながら会話をする。子供たちの修行の話をしてた気がするけど、紅茶をちゃんと飲むか気になって集中できない。
1707