練習終わったしアイス食べて帰ろうや「なあ、暑いしアイス食べて帰ろうや」
「はあ、」
要は気の抜けたサイダーみたいにスカスカの返事をよこした。こちらを振り向くこともない。
「いらん、て思てるやろ」
「いらないっていうか、水でよくないです?」
「水じゃあかんやろ。練習終わりのほてった俺の指には甘くて冷やっこいアイスしか効かへんもん」
「じゃあ、お好きにどうぞ」
「ええやん、バッテリー二人で帰っとんねんから二人で食べたい」
「はあ、じゃあまあ、それでもいいですよ」
こちらを見上げる顔には「しかたないんで、つきあってあげます」という気持ちが、くっきりと刻まれていた。
やっぱこいつ、おもしろい奴っちゃな。
心の中でほくそ笑んだつもりだったが、愉快な気持ちをどうにも抑えきれなかったらしい。なんだか気持ち悪い含み笑いが漏れ出てきた。デュフッ。
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