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    桐智 2025/06/02
    大学生の桐智の小話。智将1年。友情出演寺門さん。

    #桐智

    【桐智】天気予報「要くん、俺のこと好き?」
    「明日の天気は晴れですね」
    「ふーん、ほな傘はいらんか」
    そっすね、と適当な相槌を打ちながら要くんはボトルの水を飲んだ。次の練習メニューのことを考えているのか、要くんはノートを手放さない。
    「で、俺のこと好き?」
    「最高気温は三十度近いらしいんで、ちゃんと水分とった方がいいみたいです」
    分かった分かったサンキューな。
    俺が頷くと、要は少々わざとらしく、再度水を飲んだ。まあなんだ、実際、暑いんやけどな。
    要くんが壊れたアレクサみたいな答えをすることに気がついたのは、同じ大学になって三日目のことだった。何回聞いても、しれっと何事もなかったかのような真顔で天気予報を返してくるから、狂ってんのは俺の頭の方なのではないかと不安になったのも、今や懐かしい記憶だ。俺は俺のことが好きかどうか質問してるつもりやけど本当は「今日の天気なに?」って聞いてるんかもしれん俺のことが好きかどうか聞いてるつもりなんは俺だけなんかな春なのにホラー体験かよ、と混乱した俺が慌てて部室にいた寺ちゃんに「俺のこと好き?」って聞いたところ我が親友は間髪入れずに「好きに決まってるでしょ!」とハグアンドキスを授けてくれたので、おかしいのは俺の頭じゃなくて要くんの方やって確信が持てたあの日のことも忘れない。寺ちゃんありがとうさすが俺の心友。でも前から言ってるけどキスのあとに髭でゴリゴリすんのはやめといてんか。俺のお肌は羽二重餅並にやわやわやからな。頼むで。
    そんなこんなで、すったもんだはあったものの、俺はせっかく気づいた要くんの便利機能を活用することにした。俺専用天気予報だ。いつでもどこでも要くんに「俺のこと好き?」と聞けば、午前中は今日の天気を、午後は明日の天気を教えてくれた。使い方がわかってしまえば、アレクサより、断然優秀だ。ささが要くん。
    実はこの機能、実は一定の条件で裏機能がある。俺だって男の子だから、この機能に気がついたの時は飛び上がって喜んだ。男子ってやつは裏メニューとか隠しモードとかに弱いやろ。俺もそう。しかも夜しか発動しない。夜しかない機能ってなんかいい。
    そう、夜になって泥酔した要と二人きりになったら、発動条件完成だ。
    道端や、店の奥。ちょっと暗い場所で、酔った要くんに「俺のこと好き?」って聞けばいい。頬を赤くした要くんは、俺の質問を目を閉じて消化して、それから、ゆっくりゆっくりと頷く。昼間、お堅い顔で天気予報を答える要くんからは想像もできない遅い仕草で、ゆっくり、こっくりと。
    「要くん、俺のこと好き?」
    「……………すきれすよ」
    すきれす。すきれす。すきですよ。
    そう何度も何度も繰り返すので、俺も何度も何度も質問するのだ。
    「要くん、かわいい要くん、俺のこと好き?」










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    kikhimeqmoq

    DONE桐智 2025/06/02
    大学生の桐智の小話。智将1年。友情出演寺門さん。
    【桐智】天気予報「要くん、俺のこと好き?」
    「明日の天気は晴れですね」
    「ふーん、ほな傘はいらんか」
    そっすね、と適当な相槌を打ちながら要くんはボトルの水を飲んだ。次の練習メニューのことを考えているのか、要くんはノートを手放さない。
    「で、俺のこと好き?」
    「最高気温は三十度近いらしいんで、ちゃんと水分とった方がいいみたいです」
    分かった分かったサンキューな。
    俺が頷くと、要は少々わざとらしく、再度水を飲んだ。まあなんだ、実際、暑いんやけどな。
    要くんが壊れたアレクサみたいな答えをすることに気がついたのは、同じ大学になって三日目のことだった。何回聞いても、しれっと何事もなかったかのような真顔で天気予報を返してくるから、狂ってんのは俺の頭の方なのではないかと不安になったのも、今や懐かしい記憶だ。俺は俺のことが好きかどうか質問してるつもりやけど本当は「今日の天気なに?」って聞いてるんかもしれん俺のことが好きかどうか聞いてるつもりなんは俺だけなんかな春なのにホラー体験かよ、と混乱した俺が慌てて部室にいた寺ちゃんに「俺のこと好き?」って聞いたところ我が親友は間髪入れずに「好きに決まってるでしょ!」とハグアンドキスを授けてくれたので、おかしいのは俺の頭じゃなくて要くんの方やって確信が持てたあの日のことも忘れない。寺ちゃんありがとうさすが俺の心友。でも前から言ってるけどキスのあとに髭でゴリゴリすんのはやめといてんか。俺のお肌は羽二重餅並にやわやわやからな。頼むで。
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    DOODLE桐智。
    大学生で同棲設定。ふんわり設定。
    大阪弁はふんわり。単語が下品です。
    キスの仕方なんて知らない「要クン。一年経ったし、そろそろ白状してもらうで」
     圭と秋斗が二人で暮らすアパートのダイニングキッチン。そのダイニングテーブルで圭と向かい合い、秋斗はにこやかに笑いかけた。
     テーブルには酒を注いだグラスが二つある。グラスを満たしているのは以前知り合いから譲り受けて飲んだところ、圭の反応がよかった桃の果実酒だ。今日のためにわざわざ通販で取り寄せたその酒は、圭が白状しやすいようにとの秋斗なりの気遣いと、尋問するのは多少心が痛むのでその詫びを兼ねたもの。
     とろりとしたクリーム色の酒をグラスに注いだときの圭の目は、少しばかり喜色を帯びていたが、秋斗の言葉で一気に真顔に戻った。口が引き攣らないように努力している様子さえある。圭と大学野球部で共に過ごすようになってから早三年。二人きりのときはこうして表情が表に出るようになった。圭の思考は表情に出ていなくても概ね分かるが、出ている方が秋斗の好みだ。秋斗以外は圭のこんな感情を知らないという軽い優越感が理由の一つ。あともう一つは、本人が秋斗の前だけ表情筋の動きが違うことを理解していないのがオモロ……ではなく、可愛いからだ。
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