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    kikhimeqmoq

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    2025/07/05 桐智
    大学生でバッテリーを組む桐智。
    ある夏とつぜん付き合い始める桐智。

    #桐智

    練習終わったしアイス食べて帰ろうや「なあ、暑いしアイス食べて帰ろうや」
    「はあ、」
    要は気の抜けたサイダーみたいにスカスカの返事をよこした。こちらを振り向くこともない。
    「いらん、て思てるやろ」
    「いらないっていうか、水でよくないです?」
    「水じゃあかんやろ。練習終わりのほてった俺の指には甘くて冷やっこいアイスしか効かへんもん」
    「じゃあ、お好きにどうぞ」
    「ええやん、バッテリー二人で帰っとんねんから二人で食べたい」
    「はあ、じゃあまあ、それでもいいですよ」
    こちらを見上げる顔には「しかたないんで、つきあってあげます」という気持ちが、くっきりと刻まれていた。
    やっぱこいつ、おもしろい奴っちゃな。
    心の中でほくそ笑んだつもりだったが、愉快な気持ちをどうにも抑えきれなかったらしい。なんだか気持ち悪い含み笑いが漏れ出てきた。デュフッ。
    「なんでそんな上からなん?」
    「桐島さんだったらいいかなって」
    「なんやそれ、全然返事になってへんやん」
    そうですか?という要は全くわかっていないようだった。
    「ほんなら、キスしてって言っても、俺やったらええんか?」
    困った顔を見れるのだと予想していた。もしくは、怒りを含んだ眉間の皺を。あるいは、無表情を装いながら、こめかみだけは震わせているのが見れるのかもしれないし、なんなら「バカじゃないですか」と呆れられても、それはそれで見ごたえがある。
    でも、俺の前にいる要は、垂れ目の奥から自信ありげに俺を見つめ、口元には不敵な、それでいてどこか涼しい笑みを浮かべていた。
    いや、だから、なんでそんなに上からやねん。エロいやろ。

    俺たちの唇の間に流れる汗は練習あがりで土臭い。それでも俺の中に溶けゆく要の舌はひどく甘く感じた。たぶん、それは、アイスよりも俺の指に効くんやろう。








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    chrosite_10

    DOODLE桐智。
    大学生で同棲設定。ふんわり設定。
    大阪弁はふんわり。単語が下品です。
    キスの仕方なんて知らない「要クン。一年経ったし、そろそろ白状してもらうで」
     圭と秋斗が二人で暮らすアパートのダイニングキッチン。そのダイニングテーブルで圭と向かい合い、秋斗はにこやかに笑いかけた。
     テーブルには酒を注いだグラスが二つある。グラスを満たしているのは以前知り合いから譲り受けて飲んだところ、圭の反応がよかった桃の果実酒だ。今日のためにわざわざ通販で取り寄せたその酒は、圭が白状しやすいようにとの秋斗なりの気遣いと、尋問するのは多少心が痛むのでその詫びを兼ねたもの。
     とろりとしたクリーム色の酒をグラスに注いだときの圭の目は、少しばかり喜色を帯びていたが、秋斗の言葉で一気に真顔に戻った。口が引き攣らないように努力している様子さえある。圭と大学野球部で共に過ごすようになってから早三年。二人きりのときはこうして表情が表に出るようになった。圭の思考は表情に出ていなくても概ね分かるが、出ている方が秋斗の好みだ。秋斗以外は圭のこんな感情を知らないという軽い優越感が理由の一つ。あともう一つは、本人が秋斗の前だけ表情筋の動きが違うことを理解していないのがオモロ……ではなく、可愛いからだ。
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