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    kikhimeqmoq

    はらす

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    桐智 2025/07/05
    大学生でバッテリーを組む桐智。
    ある夏とつぜん付き合い始める桐智。

    #桐智

    練習終わったしアイス食べて帰ろうや「なあ、暑いしアイス食べて帰ろうや」
    「はあ、」
    要は気の抜けたサイダーみたいにスカスカの返事をよこした。こちらを振り向くこともない。
    「いらん、て思てるやろ」
    「いらないっていうか、水でよくないです?」
    「水じゃあかんやろ。練習終わりのほてった俺の指には甘くて冷やっこいアイスしか効かへんもん」
    「じゃあ、お好きにどうぞ」
    「ええやん、バッテリー二人で帰っとんねんから二人で食べたい」
    「はあ、じゃあまあ、それでもいいですよ」
    こちらを見上げる顔には「しかたないんで、つきあってあげます」という気持ちが、くっきりと刻まれていた。
    やっぱこいつ、おもしろい奴っちゃな。
    心の中でほくそ笑んだつもりだったが、愉快な気持ちをどうにも抑えきれなかったらしい。なんだか気持ち悪い含み笑いが漏れ出てきた。デュフッ。
    「なんでそんな上からなん?」
    「桐島さんだったらいいかなって」
    「なんやそれ、全然返事になってへんやん」
    そうですか?という要は全くわかっていないようだった。
    「ほんなら、キスしてって言っても、俺やったらええんか?」
    困った顔を見れるのだと予想していた。もしくは、怒りを含んだ眉間の皺を。あるいは、無表情を装いながら、こめかみだけは震わせているのが見れるのかもしれないし、なんなら「バカじゃないですか」と呆れられても、それはそれで見ごたえがある。
    でも、俺の前にいる要は、垂れ目の奥から自信ありげに俺を見つめ、口元には不敵な、それでいてどこか涼しい笑みを浮かべていた。
    いや、だから、なんでそんなに上からやねん。エロいやろ。

    俺たちの唇の間に流れる汗は練習あがりで土臭い。それでも俺の中に溶けゆく要の舌はひどく甘く感じた。たぶん、それは、アイスよりも俺の指に効くんやろう。








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    kikhimeqmoq

    DONE桐智 2025/09/29

    大学生。付き合っていない桐智が付き合いだす。学校は違いますが、ふたりとも野球をしています。ふたりで花火を見に行って、付き合い始める話。前半が桐島視点で、後半が智将視点です。
    来年もまだこの手を握っているんだろうか東京に来る前からずっと気になっていた男がいる。上手いだけではなく、曲者で、状況の隅から隅まで考えて野球をするやつだ。一緒に野球をしたら面白いやろうな。記録映像で感じた直感はその後も裏切られず、高校の練習試合でも、甲子園をかけた試合でも変わらなかった。変わらないどころか強まるばかりだ。だのに、そいつとは結局、大学生の今に至るまで同じチームになることはなかった。
    選手としての関心はいつしか個人としての関心となり、先輩後輩なので友達というのは変なのだけど、なんらかのツレになりたい気持ちが抑えられず、結果的に暇があれば連絡をして外に連れ出すようになった。野球関係なく繋がりたいといっても、結局は野球馬鹿二人がやることといえば野球くらいしかなく、出かける先といえば観戦観戦バッセン筋トレ分析会となるのが殆どだった。ついでに飯を食って帰るのが定番だ。まあなんだ。他のことをしようとしたって、例えば、そう、水族館に行くって考えてみたところで俺だってうまくイメージできないんだから今のままでいいんだろう。イルカを見た要がどんな顔でなんと言うのか興味がないわけではないのだけれど。
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    kikhimeqmoq

    DONE桐智 2025/09/08
    付き合っている大人の桐智。大人の桐智の大人の下ネタ。
    ほろよい、玩具、目を逸らす甘くもなく辛くもなくほどよい刺激の液体がスパイシーな香りを振り撒きながら喉を駆け抜けていく。三杯目としてはちょうどいい軽さだ。ほろ酔いの気まぐれでカウンターの上にある塔のオブジェを指先で弄った。このバーに要くんと来るのは五回目になるが、窓際ではなくバーテンダーのいる内側の席に座るのは初めてだ。間接照明しかない暗い店内で、隣の要くんだけがようやく分かる。黄色っぽいダウンライトに照らされ、いつもは白い要くんの頬も優しいクリーム色に染まっていた。なんか、美味しそうやな。パンケーキのみたいに柔らかく甘い気がする。本当は、硬く塩辛いことをよく知っているのに。
    カウンターのヘリには小さな塔のオブジェが並んでいる。東京タワー、エッフェル塔、スカイツリー、自由の女神、太陽の塔……。シャーペンより少し小ぶりで、丸みを帯びた形にデフォルメされ、お洒落というより可愛らしさを演出している。大人びた店内に優しいアクセントを添えていた。「かわええやん?」と要くんに言うともなく呟き、スカイツリーの先端をつついていた。
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    chrosite_10

    DOODLE桐智。
    大学生で同棲設定。ふんわり設定。
    大阪弁はふんわり。単語が下品です。
    キスの仕方なんて知らない「要クン。一年経ったし、そろそろ白状してもらうで」
     圭と秋斗が二人で暮らすアパートのダイニングキッチン。そのダイニングテーブルで圭と向かい合い、秋斗はにこやかに笑いかけた。
     テーブルには酒を注いだグラスが二つある。グラスを満たしているのは以前知り合いから譲り受けて飲んだところ、圭の反応がよかった桃の果実酒だ。今日のためにわざわざ通販で取り寄せたその酒は、圭が白状しやすいようにとの秋斗なりの気遣いと、尋問するのは多少心が痛むのでその詫びを兼ねたもの。
     とろりとしたクリーム色の酒をグラスに注いだときの圭の目は、少しばかり喜色を帯びていたが、秋斗の言葉で一気に真顔に戻った。口が引き攣らないように努力している様子さえある。圭と大学野球部で共に過ごすようになってから早三年。二人きりのときはこうして表情が表に出るようになった。圭の思考は表情に出ていなくても概ね分かるが、出ている方が秋斗の好みだ。秋斗以外は圭のこんな感情を知らないという軽い優越感が理由の一つ。あともう一つは、本人が秋斗の前だけ表情筋の動きが違うことを理解していないのがオモロ……ではなく、可愛いからだ。
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