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    桐智 2025/09/08
    付き合っている大人の桐智。大人の桐智の大人の下ネタ。

    #桐智

    ほろよい、玩具、目を逸らす甘くもなく辛くもなくほどよい刺激の液体がスパイシーな香りを振り撒きながら喉を駆け抜けていく。三杯目としてはちょうどいい軽さだ。ほろ酔いの気まぐれでカウンターの上にある塔のオブジェを指先で弄った。このバーに要くんと来るのは五回目になるが、窓際ではなくバーテンダーのいる内側の席に座るのは初めてだ。間接照明しかない暗い店内で、隣の要くんだけがようやく分かる。黄色っぽいダウンライトに照らされ、いつもは白い要くんの頬も優しいクリーム色に染まっていた。なんか、美味しそうやな。パンケーキのみたいに柔らかく甘い気がする。本当は、硬く塩辛いことをよく知っているのに。
    カウンターのヘリには小さな塔のオブジェが並んでいる。東京タワー、エッフェル塔、スカイツリー、自由の女神、太陽の塔……。シャーペンより少し小ぶりで、丸みを帯びた形にデフォルメされ、お洒落というより可愛らしさを演出している。大人びた店内に優しいアクセントを添えていた。「かわええやん?」と要くんに言うともなく呟き、スカイツリーの先端をつついていた。
    「壊さないでくださいよ」
    「俺が既に壊したみたいに言わんどいて」
    「可能性が高すぎます」
    「そんなわけ……って何これ?」
    手元のスカイツリーがふるふると震え、左右に揺れだした。このまま歩き出しそうな愉快な揺れっぷりだ。踊るひまわりよりも性質が悪い。びっくりするやろびびるやろ。
    「それ、動く玩具なんですよ」
    何これ?の呟きが聞こえたらしいバーテンダーが、カウンターの向こう、暗闇の奥から種明かしをしてくれた。
    手元の塔は、ぶぶぶと小さな音をさせながら、揺れ続けている。どうやら知らずのうちにスイッチを押したらしい。
    「とうとう桐島さんが壊したのかと焦りました」
    「ちゃうやん、仕様やん、押したら動くだけやん」
    まあねえ、と要くんはこぼし、グラスを手に取った。
    「塔の玩具ってネットに売ってんのかな」
    呟きながら検索を始めると、ゆっくりと要くんがすり寄ってくる気配がする。するすると猫みたいに音もなくしなやかな気配が肩に寄り添う。店内は十分温かいのに、触れ合う箇所だけ別の温度を感じた。
    「ちょっとっ!」
    声量を小さく抑えたが、そのせいで鋭いかすかな叫び。
    俺のスマホを覗いた要くんは一瞬固まり、すぐに屈んで声なく笑い出した。服越しでも腹筋が痙攣しているのが分かる。ウケた。やった。要くんに勝ったな。
    「塔の玩具やん?」
    「塔は塔ですけど、子供じゃなくて、大人の玩具じゃないですか」
    うん。
    頷くと、要くんが崩れるように笑った。大声を出せないからか、くしゃくしゃにした顔のまま笑い続ける。声を抑えるせいで肩が震え、目尻に涙が溜まり、やがてこぼれた涙は泣き黒子を通過して柔らかな唇を濡らした。下からのライトに照らされ、濡れた唇がふるふると揺れる様が綺麗に映えた。
    「玩具、このピンクのやつ買うてええ?」
    「駄目に決まってます」
    笑いながらも、要くんは即答した。
    「ほな、俺のがいいってこと?」
    要くんは目を逸らし、声をころして笑い続ける。丸めた肩が無音の笑いのせいで震え続けていた。ぶるぶるふるふると。

    カウンターの下で俺の左手を掴む指が熱く、少し震えていた。
    やばい。嬉しくて俺のんがふるふるしてまうわ。





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    kikhimeqmoq

    DONE桐智 2025/09/08
    付き合っている大人の桐智。大人の桐智の大人の下ネタ。
    ほろよい、玩具、目を逸らす甘くもなく辛くもなくほどよい刺激の液体がスパイシーな香りを振り撒きながら喉を駆け抜けていく。三杯目としてはちょうどいい軽さだ。ほろ酔いの気まぐれでカウンターの上にある塔のオブジェを指先で弄った。このバーに要くんと来るのは五回目になるが、窓際ではなくバーテンダーのいる内側の席に座るのは初めてだ。間接照明しかない暗い店内で、隣の要くんだけがようやく分かる。黄色っぽいダウンライトに照らされ、いつもは白い要くんの頬も優しいクリーム色に染まっていた。なんか、美味しそうやな。パンケーキのみたいに柔らかく甘い気がする。本当は、硬く塩辛いことをよく知っているのに。
    カウンターのヘリには小さな塔のオブジェが並んでいる。東京タワー、エッフェル塔、スカイツリー、自由の女神、太陽の塔……。シャーペンより少し小ぶりで、丸みを帯びた形にデフォルメされ、お洒落というより可愛らしさを演出している。大人びた店内に優しいアクセントを添えていた。「かわええやん?」と要くんに言うともなく呟き、スカイツリーの先端をつついていた。
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    DOODLE桐智。
    大学生で同棲設定。ふんわり設定。
    大阪弁はふんわり。単語が下品です。
    キスの仕方なんて知らない「要クン。一年経ったし、そろそろ白状してもらうで」
     圭と秋斗が二人で暮らすアパートのダイニングキッチン。そのダイニングテーブルで圭と向かい合い、秋斗はにこやかに笑いかけた。
     テーブルには酒を注いだグラスが二つある。グラスを満たしているのは以前知り合いから譲り受けて飲んだところ、圭の反応がよかった桃の果実酒だ。今日のためにわざわざ通販で取り寄せたその酒は、圭が白状しやすいようにとの秋斗なりの気遣いと、尋問するのは多少心が痛むのでその詫びを兼ねたもの。
     とろりとしたクリーム色の酒をグラスに注いだときの圭の目は、少しばかり喜色を帯びていたが、秋斗の言葉で一気に真顔に戻った。口が引き攣らないように努力している様子さえある。圭と大学野球部で共に過ごすようになってから早三年。二人きりのときはこうして表情が表に出るようになった。圭の思考は表情に出ていなくても概ね分かるが、出ている方が秋斗の好みだ。秋斗以外は圭のこんな感情を知らないという軽い優越感が理由の一つ。あともう一つは、本人が秋斗の前だけ表情筋の動きが違うことを理解していないのがオモロ……ではなく、可愛いからだ。
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