こわいのは半裸のままぼんやりと、窓際に並んで空を眺めた。だって気づけば雷だったのだ。すごいなぁ、と呟きながら彼は下着だけ身につけ窓を仰ぎ、俺は腰が重いくせにいつの間にか彼の隣に並んだ。電灯もつけず暗い部屋でふたり、激しい雨音に時々雷鳴が混じるのを聞き続けると、雷が夜空を駆け抜ける。青白い光は彼の横顔をまだらに浮かびあがらせた。その端正な輪郭に、やっぱりイケメンだな、と感じ思わず顔を顰めた午前二時。
好きだなんて、さっきまで、手足の隅々体の奥までいやというほど感じていたのに、俺はまだ足りていないんだろうか。満ち足りているはずなのに、乾くように欲してしまう。その不足の贅沢に、後ろめたさと幸せを同時に感じた。はあ。
「要くん、雷こわいん?」
眉間の皺に気がついたのかなんなのか、彼は俺の肩を抱く。だからほら、だめだから。もっと欲しくなるから。こわいから。
「こわいのは雷じゃないです」
早口にそう答え、轟音に紛れて彼の右目に口づける。乾いた戸惑いを滲ませた桐島さんは、「え?なに?こわ……」と笑い、俺の黒子にそっとキスを返した。
稲妻が絶え間なく光る夜。光がふたりを映しだす晩夏の夜。
〆