秤 警察への説明が終わり研究所へ戻ると、草色の小さな背中が来客用のソファに腰掛けて待っていた。二人が部屋入ると横顔で振り返り、お帰りなさいと迎える。
昨日の今日だ。何の用件で来たのかは訊くまでもない。
メフィスト三世だけこんにちは伯父さんと応えると、お茶を用意しにキッチンへ消えた。一郎は無言で真吾の背後を回ると、書斎机に腰掛けた。
「お疲れ様、警察からの帰りだろう?大変だったね。」
湯を沸かす間三世は一旦部屋へ戻り、テーブルの隣に立った。
「今日で一通りの説明は終わって、今後は確認したいことが出てこなければ呼ばれる事は無いとの事でした。」
「じゃあ一旦は落ち着けそうだね…よかった。」
真吾は神妙な顔でこっくり頷く三世を気遣う。
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