梅園然 タバコとワンルーム フツフツと電気ケトルから音が鳴る。キッチンでお湯が沸くのをただ待つ。カチッ、ケトルから音が鳴り、蓋を開けて用意されていた二つのカップ麺にお湯を注ぐ。
「はあ……。
水揚げ…ねえ…」
ソファから聞き慣れない単語と共に大きな溜息が聞こえる。
「水揚げ?なにそれ」
やべ、と一言零した後ソファで横になっていた女、神奈は体を起こすとタバコを手に取る。
「んや、まあ…キャストが一人辞めるって話。」
カチ、カチ。ライターの火をつけようとする音。焦りからかいつもと違い中々火がつかない。些細な機微だが然は見逃さなかった。
「へー、辞めちゃうんだ?」
特に深く触れず話を続ける。お湯の入れたカップ麺を二つ持ち、ソファの前のテーブルに置く。
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