残り物 うろこ
「は?」
意味がわからないという顔でサスケが俺に訝しげな目を向ける。
俺の家でサスケが作ってくれた夕食を食べながら更に少しずつ残ったおかずを箸で指し示す。
「それ、サスケが俺が食べるだろうと思って残しておいたサラダでしょ。こっちがもう二人とも腹いっぱいになって食えなくなったから残った肉。」
「明日の朝あんたが食うって言ったやつだろ。」
「これさ、なんか俺たちみたいだよねって。」
また意味がわからないという顔をする。
「どんな理屈だよ……。」
「サラダは俺に託されて残った。肉はとり残された。ほら。俺たちこの残り物と同じじゃない?」
それを聞いたサスケは、しばらく前に置いた箸をもう一度手に取った。
「んな事言うなら今全部食べる。」
「お腹いっぱいじゃないの?」
「そんなふうに言われると残ってるのがなんか気分悪りぃ。」
サラダボウルごと手に取って箸でかき込んでいく。肉の皿も同じように。
「……無理しなくていいのに。」
よく噛みもせず飲み込んで、お茶を飲んで流し込む。
「……人を残り物扱いするからだ。」
空になった食器を重ねて、場所をキッチンに移した。
食器を洗う俺、洗われた食器を布巾で拭くサスケ。
「サスケは残されて良かったって、思わない?俺はよかったと思うよ。託されたこの眼のおかげで今まで生き残れてきた。」
「……良いとか悪いとか、そういうもんじゃねぇよ。」
「でもさ、生き残ったからこうして俺たち出会えたじゃない。」
「言ってろ。」
二時間後、寝室。
うつ伏せのサスケに折り重なるようにして身体を重ねる俺。
「正直ね、もう俺ひとり残されたくない。だからサスケが全部拾ってよ。おかずを全部食べたみたいにさ、俺の全部を拾ってよ。」
「…カシ、ゴム……っ」
「俺の残滓を残らず全部受け止めて吸収してよ。その代わり俺がサスケの全部を拾うから。……お願い。」
「ほんとに……ウズラトンカチ」