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    mat0ichan

    @mat0ichan

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    雷が怖い青野寺と名津黄②雨の日ver〜名津黄視点〜「……あ、また降ってきましたね……」

    オフィスの窓の外は、グレーの空からしとしとと雨。
    ぽつ、ぽつ、とガラスを打つその音に、青野寺くんがさりげなく肩をすくめた。

    (ああ……今日も、雨か)

    そう思ったときには、僕の視線は自然と、彼の横顔に向いていた。

    「ねえ、青野寺くん」

    「はい?」

    「雨、……嫌い?」

    「……っ、い、いえ。あの……少しだけ、苦手です。でも、名津黄さんがいる日は……その……」

    「ええ?…ふふ」

    言葉の続きを聞かずとも、想いは伝わってきた。
    たどたどしくて、控えめで、それでもちゃんと心がこもっていて──そんな青野寺くんの言葉が、僕はいつだって愛おしい。



    その日の仕事が終わって、僕の部屋に寄った青野寺くんはいつもよりさらに静かで、おとなしくて。

    部屋着に着替えたあとも、僕の横にぴたりとくっついて、黙ったままテレビを見ていた。

    「……雨の音、気になるかい?」

    「……す、少しだけ…」

    「ふふ、じゃあ」

    僕はさりげなく、青野寺くんの肩に腕をまわす。
    それだけで、彼の身体がぴくっと小さく反応するのがわかる。

    「…こうしてたら、気にならないかな?」

    「……はい。あの……すごく、落ち着きます…」

    彼の声はくぐもっていて、少しだけ照れているのが伝わった。
    僕の胸元に、そっと額を預けてきた青野寺くんが、まるで猫のようにくるまってくる。

    (ああ、かわいいなあ)

    「雨の日は、甘えたい気分になるの?」

    「……っ……た、たまに、です。……ちょっとだけ、特別に……」

    「うん、“雨の日だけ”っていうの、可愛いね」

    僕がそう言うと、青野寺くんの耳が真っ赤になった。
    それでも逃げるような仕草はせず、ぎゅっと僕の服の裾を掴んだまま離さない。

    「……名津黄さん、今日も……一緒にいてくれて、あっ、ありがとう…ございます…」

    「当たり前だよ。青野寺くんが、雨の日でも笑っていられるように──」

    そう言い終わる寸前、僕の言葉がとぎれた。
    青野寺くんが、そっと目を閉じたからだ。

    「……ッ」

    「……キス、してもいい?」

    「……はい……」

    囁き合うような声のやりとりのあと
    唇が、そっとふれる。

    甘くて、静かで、あたたかくて──まるで、雨音さえも包み込むようなキス。

    何度も、何度もそっと重ねるたび、青野寺くんの身体が少しずつ、僕に寄りかかっていく。

    「……雨の日、き、嫌いじゃなくなってきたかも…です…」

    「わあ、それは嬉しいなあ」

    僕は優しく彼を抱きしめた。
    雨の音が続いていても、この空間だけは、静かで、優しくて、ふたりだけの特別な世界だった。

    ──雨の日だけ、青野寺くんはちょっと甘えん坊になる。
    それが、僕にとってのささやかな、幸せの証だった。
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