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    asaki

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    キスの日だと言うのでキャッキャウフフな話のはずだったのになぜかこうなった………イチャイチャしろよぉ……

    #笹仁
    sasahito
    ##笹仁

    【笹仁】advantage kiss むにと唇を押し付けられ、やんわりと食まれる。
     厚みもないそれの感触を楽しむようなキスに思わずどんと胸を叩いた。それでも笹塚はやめようとはしなかった。
     笹塚は、仁科と二人きりでいると突然キスをしてくるようになった。触れるだけのキスは徐々に回数が増え、かすめ取るようなキスの時もあれば今みたいに遊ばれることもある。
     傍若無人な笹塚もこればかりは人目を避けているので、それくらいの良識はあったかと唇を触れ合わせながらぼんやりと思う。仁科にとってこれは何ら思うところのない行為である。笹塚が満足すれば指先から美しい音楽が生み出される、そのためだけに仁科は奉仕しているのだ。
    (好きな相手とした方が、もっといい音楽が生まれるはずだーー)
     仁科は笹塚にキスされる度に思う。
     笹塚は何も言わない。
     ただ仁科は笹塚の作曲に必要なことで、いわゆる『キスの味』が知りたかったのではないかと思っている。濃厚な恋愛映画を見ても劇伴の話しかしない男には、恋愛の機微や切ない胸の内という部分は分からないのだろう。どうしても触れ合いたいという欲求も理解ができないというような表情をしていた。アクション映画の合間に挿し込まれる主人公とヒロインのじれったい関係にも「これ、必要か?」と問う男に、仁科は恋愛を指南できるほどの経験もない。できるのは、受け容れることだけ。
    「仁科、口開けて」
    「え?」
     終始無言で終わる儀式のようなキス。その最中に声をかけられるのは初めてではないだろうか。
     目を開けて笹塚を見れば思いのほか距離が近くて、思わず後ずさる。だが、ソファの背に阻まれて、物理的な距離は取れなかった。
     眼鏡越しでも強く感じる射るような瞳。それが仁科を縫い留めて逃がすまいとしているようだった。
    「まだするのか」
    「する」
     なんでという間に、笹塚の舌がぬるりと入り込んできた。
     驚きに縮こまった舌を追いかけて、宥めるように舌の先端をつつかれる。おずおずと力を抜けば、絡みつかれて吸われた。じゅっと吸われる瞬間、ぞわぞわと背を走る感覚。腰が抜けるようなそれに戸惑いながらも、笹塚のキスに翻弄されるばかりだった。
     唇を触れ合わせ、食まれるときには感じなかったなにかが這い上がってくる。上顎やつるりとした歯列の裏を舐められるとますます腰から力抜けるようだった。
     仁科の力抜けるほどに、笹塚は覆いかぶさるようにして更に求めてくる。とうとう逃げ腰になる仁科を抱き寄せて、がっちりと抱きしめられてしまった。
     何度か唇は離れるものの、苦しさに喘いで、息を吸ってしまうと抗議の言葉を出す前に塞がれてしまう。何も言わせまいとするかのうようなキスに、仁科は再び胸を叩こうとした拳を開いて、笹塚の服に縋りつくしかできなかった。
     しかし、さすがに延々と続けられると仁科も酸欠になる。笹塚もそれに気付いたのか、ようやく離れてはあはあと息を継ぐ仁科をじっと見つめた。
     色々と問いたいことがあったが、苦しくて浅い呼吸を繰り返してばかりの状態では一言も発せそうになかった。吸っても肺に酸素がいき渡らない感じがして、呼吸が落ち着かない。
    「仁科、ゆっくり」
    (そうは言っても、ゆっくり吸ったら苦しいんだって)
     俯いたまま心の中で抗議していると、背中を指先がとんとんと優しく撫でるように叩く。そのテンポに合わせるように、できる範囲で呼吸の速度を落としていく。徐々に跳ねていた鼓動も落ち着きを取り戻して、呼吸もずいぶん楽になった。
    「落ち着いたか」
    「だれのせいだよ……」
     呼吸は落ち着いたが意識はぼんやりしたままだ。笹塚を問い質そうにも、どう切り込むのがいいかいい案が浮かばない。「もう十分だろ」「これで分かったか」そんな風に言えば、笹塚も「そうだな」と言って、この不毛なキスの時間も終わりにできるだろうか。これだけすれば理解できなくとも、笹塚は感覚で音に落とし込むことができるはずだ。
    「……さ、」
     笹塚と声をかけるつもりで、顔を上げれば先程と変わらない強度の視線に、思わず怯んだ。
    「お前、どこまで俺を受け容れる気だった?」
    「そ、れはーー」
    「俺はお前が許すなら、どこまでも付け込む」
     仁科にも許容範囲というものがある。だが、笹塚に問われて分からなくなった。
    (どこまでって……これ以上なにがあるっていうんだ、そもそも付け込むってなに)
     仁科は笹塚に付け込まれていたのか。だとしたら、なにに付け込んでいたのかさっぱり分からない。
    「仁科」
    「なんだよ」
    「キス、嫌がらなかったな」
    「嫌じゃないし、お前の糧になるならそれくらいは。さすがに舌入れるのは、……笹塚?」
     笹塚の纏う空気がぴりっとした緊張感のあるものに変わった。今の発言のどこかに気に障るようなことがあっただろうか。
    「お前、本当にわかってない」
    「わかんないよ」
     仁科は素直に答えた。笹塚に言われなければ察するだけ。でも、その内容はあくまでも推察であって、笹塚の考えた内容ではない。今までの笹塚を知っているから的中率が高いだけで、こうやって理由がわからないことをされるとまったく当たらなくなる。
    「キスする理由なんてひとつしかないだろ」
     そう告げられて、仁科の脳内に映画のワンシーンが思い浮かぶ。あれはどの映画だっただろうか。笹塚の参考にと片っ端から見たせいで、ごちゃごちゃになっている。まるで様々なキスシーンが繋がれたフィルムのように浮かんでは消えるけれど、その理由が共通していることだけは分かる。
    (分かる、けどーー)
     それを口にするのは、ひどく滑稽な気がする。いくらなんでも自惚れが過ぎるだろう。それにもしそうだとしたら、今まで全く気付かなかった自分の鈍さが恥ずかしい。
    「仁科」
     先を促すように笹塚が急かす。笹塚には仁科が思い至ったことはバレているようだった。あえて、言葉にさせたいのだ。これほど自発的な勇気がいるのは、いつぶりだろうか。
    「ーーすき、なのか?」
    「あぁ」
    「俺を?」
    「仁科しかいないだろ」
    「なんで?」
     仁科にとって笹塚に好かれる理由がわからない。仲間意識というならば、仁科も持ち合わせている。その範疇を超えた好意はーー理解ができない。
    「それはこれから分からせるから心配要らない。分かるまでの間は、さっき言ったように付け込むから」
     するりと頬を撫でられて、その感触を心地よく感じる。もう一回撫でてくれないかなと犬や猫のような気持になっていると笹塚の厳めしい表情とぶつかり、これ見よがしにはあとため息をつかれ「長期戦だな」とぼやかれた。
    「とりあえず、もう一回キスさせろ」
     有無を言わさず塞がれて、驚いたもののーー仁科はやっぱり抵抗しなかった。それどころか笹塚の気持ちを聞いてしまった後では、触れ合って擦れあった場所から生じる熱が格段に違う。
     そんな仁科の変化に気付いたらしい笹塚はキスを止めると、仁科にもたれるように抱きしめてきた。今まではキス以外での接触はなかったので、なんだか不思議な気持ちで笹塚の背に手を回す。
     そのせいでまた笹塚に緊張が走ったが、すぐに霧散してなにかをぼやいている。
     仁科のことで一喜一憂する様が面白くて、このまま付け込まれてもいいかとこっそりと口元が緩んだのだった。
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