愛惜「女々し過ぎると自分でもわかってる。授業中にハムスターを介して行ったルーズリーフの切れ端での絵しりとり、写真の上手いクラスメイトが取ってくれたアイツとの偶然のツーショット。自分の憧れの人が誘ってくれたおかげで手に入れたプリクラ。」
『この関係が壊れるのが怖かった。これ以上にならなくて良い。このままで十分幸せだった、なのに今となって、会えなくなってからそれ以上になりたかったことを求めてしまう自分がいた。』
「こんなの思春期特有の勘違いに違いない、
そうだ、きっとそうだ。そう思っていたのに
オメーのおかげでソニアさんとも仲良くなれたし青春っぽいこと色々できて結構楽しかったぜ
本当はもっと言いたいことがあるのに喉が閉まる。なんでこんな心臓がいてぇんだよ。」
『貴様と顔を合わせるのも今日が最後か、闇にみちた現世も雑種と過ごした刹那の日々はなかなかつまらなくなかったぞ。
なんて言ったらなぜそれほどに名残惜しそうな顔をするんだ、勘違いするだろう。』
「お前、人にそんな優しくできたのかよ」
『貴様だけだった、俺様と向き合ってくれたのは。』
「オメー意外と笑い顔は年相応だよな」
『俺様には眩しすぎる笑顔だった』
「くだらねえ俺の馬鹿に付き合わなくていいんだぜ、」
『なぜだか雑種と過ごす現世は輝いていた』
「なんでソニアさん振んだよ、悲しませてんじゃねえよ。」
『なぜ貴様がそのような顔をするのだ、』
「一生の別れじゃないはずなのになぜかもう会えなくなってしまう気がしたんだ。」
『寂しさが痛む、伝えたくても何かが引っかかったかのように言葉にできず後悔の波が押し寄せる。』
もう二度と会えない気がしたのに結局本音を言えずに卒業式が終わった。
ああ、
田中のことが
左右田のことが
好きだ。