セラ凪出られない部屋「媚薬を10本飲まないと出られない部屋」
そうでかでかと看板が掲げられた部屋に二人は閉じ込められていた。
6畳ほどのスペースにセミダブルサイズのベッド、そしてその横には小さなサイドテーブルが1つ置いてあり、テーブルの上にはピンク色の液体が入った小瓶が並んでいる。
合計10本あるうちの8本は既に中身が無くなっていて、1本はちょうど四季凪が口を付けているところだった。
小瓶を傾けるととろりとした液体が流れ込む。
甘い。熱い。甘い。
アルコールに似た痛みを感じながら液体を嚥下する。瓶から唇を離すと、微かに手が震えていた。
「凪ちゃん、飲み終わった。俺にももう1個ちょうだい。」
ベッドの端に腰掛けるセラフが声をかける。
媚薬の甘みに耐えきれなかった様子のセラフは座ってチビチビと口をつけていたが、やっと2本めを飲み終わったらしい。
気合を入れて、立ったまま風呂上がりの牛乳を飲むように媚薬呷っていた四季凪は残りの6本を開けたところだった。
正直、限界を感じ始めている。軽いはずの小瓶を持つ手の震えと、速くなる鼓動。何よりも、自身が頭をもたげているのが触ってもいないのにわかるほどだった。
年下のセラフに無理をさせるのは忍びないと思いつつも、協力してもらわないと自分の身体が保たない。そう思いながら小瓶を1つ手に取り、ベッドに近付いた。
「う、わ……っ!」
力の入り切らなかった足がもつれ、そのまま前に倒れ込む。危ない…!と目を瞑るも、そこに思っていた衝撃はなかった。
どうやらセラフの胸板に飛び込む形で倒れ込んでいたようだった。咄嗟に四季凪を支えたセラフの手が背中を伝う。そんな意図はないとわかっていても、与えられる摩擦に身体が震えた。