少女と小さな神棚のお話。ひぃおばあちゃんちにあった、小さな神棚。
もうきっと神様はいないけれど、とお母さんからもらった手入れのされていない骨董品。
でもわたしには、まだちゃんと生きてるんじゃないかって、そう思って一生懸命きれいにした。お母さんとお父さんも手伝ってくれた。
お水と榊、お札にお塩を置く。あと、お供えものはおから。ひぃおばあちゃんが好きだったから。
一通り揃うとちゃんとした神棚になった。
まだ高いところは届かないから、わたしの手の届く位置に置いてもらった。
毎日学校帰りにお豆腐屋さんに寄っておからをもらって、お水もきちんと取り替えて、埃が付かないように水拭きもした。
きっとこれで神様も目を覚ますはず。
毎日のお祈りはちょっとしたもの。
風邪をひきませんように、とか、テストがうまくいきますように、とか。
でもなによりも、神様の居心地が悪くありませんようにって思うことが多かった。
だって居心地の悪い場所には誰だって住みたくないでしょ?
だからきっとこれで大丈夫。目には見えないけどきっと居てくれてる。
神様、今日はお父さんの帰りが遅くなるそうです。無事に帰ってきてくれるといいな。
神様、今日はテストで90点をもらいました。がんばりました。
神様、今日はケンカしちゃった友達と仲直りができました。これで明日からまた遊べるよ。
神様……神様……。
いつもありがとう。わたしの部屋の小さな神様。
これからもお手入れがんばります!