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    Risya

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    Risya

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    数ヶ月前に書いた銀土←沖前提沖土らしきもの
    自分でもよくわかんない
    沖田くんが拗らせてよく分からない方向に行っちゃってます

    #沖土
    punchingEarth
    #腐向け
    Rot

    この感情は一体いつから胸の中で燻っていたのだろう。初めて奴と会った時か、真選組として剣を握ると決めた時か。それともーー奴が想い人と共に、幸せそうに笑っていた時か。

    心の中に眠っていたらしい感情に気づいてから、俺の中での奴の存在が大きく変化した。
    向けていた殺意は、別の言い表せない何かへ。
    前まではただ憎たらしかった、俺に対する子供扱いへの苛立ちは、もどかしさへと変わった。子供扱いをされると、自分の存在が下に見られているようで、自分が奴の中での守るべき対象に入っているようで悔しかったからだ。

    一番変化したのは奴の笑顔へ向ける感情だ。元々奴は滅多に笑わない人間であったが、時たま見せる口角を上げたその顔が、かつての俺は嫌いだった。近藤さんや俺のような、近しいものだけに見せるその眩しい笑みが苦手だった。
    だが今は違う。奴が笑う時、今の俺が感じるのは嫌悪感ではなく幸福感。奴の笑顔を見ると、胸が高鳴り、途方もなく幸せだと感じてしまうのだ。

    ーー"あの人"といる時の笑顔以外を見た時は。

    奴と"あの人"が付き合いだしたのは、もう3ヶ月も前だ。所謂両片思いだったらしい2人が付き合い始めるのに時間はかからなかった。2人は男であったが、周りの目を気にせず愛を育んだ。最初は初々しく、手も繋げなかった2人は、1ヶ月が経過した頃には、周りの人間が「砂糖を吐く」と愚痴るほど、お互いに惹かれあっていた。
    最近では自他ともに認める仕事人間の奴が自ら休暇を取り、"あの人"とデートを重ねているという。

    ……そこまでは、良かったのだ。素直に祝福は自分の性格的に出来なかったが、認めるくらいはできていたのだ。

    奴は"あの人"といる時に、俺の知らない顔で笑うようになった。近藤さんに向ける、信頼のこもった笑みでもない。俺に向ける、呆れを含んだ保護者のような笑みでもない。純粋に相手だけを想って、好きで好きでたまらないといった顔で笑うのだ。

    偶然その顔を見かけた俺は、胸の中で疼く感情に気づいた。ああ、これは。この感情は。

    (俺が知らない顔で笑うな、だってお前の笑顔は)

    ーー全部俺だけが知っていればいい。

    俺はその感情を、抑えきれなかった。


    「んじゃ、またね。土方くん」
    「おう。……また今度な」
    「なーに、そんな名残惜しそうな顔して。そんなに銀さんと離れるのが嫌なの?土方くんは寂しがりでちゅねェー」
    「なっ、てめえは人の神経逆撫でする事しか言えねえのか!?……別に、寂しくなんかねェよ」
    「またまたー。顔に書いてあるよ?『愛しの銀時君と離れたくない』ってねェ。……再来週また休暇あるんだろ?それまで我慢な」
    「愛しの銀時君ってなんだよ。てめえの事そんなふうに思ったことねェわ!……まァ、またな。今日はありがとよ。……なかなか楽しかったぜ」

    そう言うと奴ーー土方は、"あの人"ーー万事屋の旦那に向け綻ぶような笑みを浮かべた。……あァ、気に食わねェ。
    その後二三言言葉を交わし、2人はそれぞれ帰路に着いた。土方が歩き出したと同時に俺も動き始める。気づかれないよう息を殺し、土方を見失わない程度の距離を保ち、後ろ姿を追った。
    万事屋の旦那と会えたのがよほど嬉しかったのか、いつもより雰囲気が柔らかいのが背中を見ただけでわかった。また心がざわつく。

    やがて土方は人通りが少ない路地裏外の近くを通った。俺はそのタイミングを見逃さず、一気に走った。奴と開いた距離を一瞬にして詰める。突然現れた気配に反応したのか、土方が歩みを止め、俺がいる方へ振り向いた。

    しかし奴がこちらに視線を向けるより俺が動く方が早い。土方の腕をつかみ、力ずくで路地裏へと連れ込んだ。土方の体が強ばる。俺は抵抗されないように奴の両手首をつかみ、壁に押し付け、足を股の間に入れて動きを封じた。突然の出来事に土方はまだ状況が呑み込めてないようだった。何故俺がこんなことをするのかが分からない、と言ったように眉をひそめている。

    「そう、ご?」
    「……土方さん」

    うわ言のように奴の名前をつぶやく。そうでもしないと、今すぐ暴れだしそうだった。感情の荒ぶるがままに、叫び出しそうだった。様子のおかしい俺に、土方は訝しそうな視線を向ける。

    「どうした? 一体なんの意味があってこんなことをする?」
    「……あんたには一生わかんねェと思いやすよ」

    そう、土方には一生分からないであろうこの気持ち。もう、我慢なんて出来ない。

    俺は困惑している土方の唇に食いついた。触れるだけのキスじゃない、舌と舌が絡み合う濃厚な大人のキス。普段子供扱いしてくる奴に対してのささやかな仕返しだった。俺はてめえが思ってるような子供じゃないという意味を込めた。もしかしたら、その考えが子供なのかもしれないが。
    最初は抵抗していた土方だったが、体から段々と力が抜けていく。目も徐々にとろけていった。

    「……はぁっ、……んんっ」

    荒い息が狭い路地でこだまする。
    ーー何十秒たっただろうか。気が済むまで堪能した唇を離すと、土方は顔を真っ赤にし、ズルズルと座り込む。
    そして唇を袖で拭い、少し潤んだ瞳でらこちらを睨めあげてきた。

    「てめェ……っ、何しやがる」
    「何って、キスですけど」
    「なんでてめェが俺にキスなんかすんだよ」
    「……さっきから質問ばっかりですねィ。何で俺がキスしたかなんて、きっと一生あんたにァ理解できやせんよ」

    俺はそう言い放つと、座り込んでいる土方を見下ろす。生理的な涙で濡れた瞳孔の開いた目と視線が合い、背筋にゾクゾクとした震えが走った。この目を作り出したのが自分だと思うとどうしようもなく嬉しかった。
    つくづく自分はドSだな、と思いながら、荒らげた息を整えるために呼吸を繰り返す土方に対し言葉をなげかける。

    「旦那というお人が居ながら俺とのキスで興奮しちまったんですかィ?真選組鬼の副長なんて呼ばれててもただの変態マゾ野郎じゃねェですか」
    「なっ、っ」
    「愛する人を裏切った気分はどうですか?罪悪感がありますかィ?それとも喪失感ですかィ?それとも……そんなこと考える暇もねェくらい感じちまったんですかィ?」
    「何を……っ」

    「ねェ、土方さん」

    土方さんは笑った。俺を見て、俺の感情に彩られた目を見て。
    土方さんは笑った。口角を不自然に上げ、目はどこか虚ろでーー俺が今まで見た事もないような、歪な顔で笑った。

    その笑顔は俺しか見た事のない、俺だけの物だった。ーーもう、誰にも渡さない。奴の笑みは全部俺のもの。

    「愛してやすぜ、誰よりも」

    この感情は、愛か、狂気かーー。
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    Risya

    MOURNING数ヶ月前に書いた銀土←沖前提沖土らしきもの
    自分でもよくわかんない
    沖田くんが拗らせてよく分からない方向に行っちゃってます
    この感情は一体いつから胸の中で燻っていたのだろう。初めて奴と会った時か、真選組として剣を握ると決めた時か。それともーー奴が想い人と共に、幸せそうに笑っていた時か。

    心の中に眠っていたらしい感情に気づいてから、俺の中での奴の存在が大きく変化した。
    向けていた殺意は、別の言い表せない何かへ。
    前まではただ憎たらしかった、俺に対する子供扱いへの苛立ちは、もどかしさへと変わった。子供扱いをされると、自分の存在が下に見られているようで、自分が奴の中での守るべき対象に入っているようで悔しかったからだ。

    一番変化したのは奴の笑顔へ向ける感情だ。元々奴は滅多に笑わない人間であったが、時たま見せる口角を上げたその顔が、かつての俺は嫌いだった。近藤さんや俺のような、近しいものだけに見せるその眩しい笑みが苦手だった。
    だが今は違う。奴が笑う時、今の俺が感じるのは嫌悪感ではなく幸福感。奴の笑顔を見ると、胸が高鳴り、途方もなく幸せだと感じてしまうのだ。

    ーー"あの人"といる時の笑顔以外を見た時は。

    奴と"あの人"が付き合いだしたのは、もう3ヶ月も前だ。所謂両片思いだったらしい2人が付き合い始めるのに時間 2723

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    Risya

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    自分でもよくわかんない
    沖田くんが拗らせてよく分からない方向に行っちゃってます
    この感情は一体いつから胸の中で燻っていたのだろう。初めて奴と会った時か、真選組として剣を握ると決めた時か。それともーー奴が想い人と共に、幸せそうに笑っていた時か。

    心の中に眠っていたらしい感情に気づいてから、俺の中での奴の存在が大きく変化した。
    向けていた殺意は、別の言い表せない何かへ。
    前まではただ憎たらしかった、俺に対する子供扱いへの苛立ちは、もどかしさへと変わった。子供扱いをされると、自分の存在が下に見られているようで、自分が奴の中での守るべき対象に入っているようで悔しかったからだ。

    一番変化したのは奴の笑顔へ向ける感情だ。元々奴は滅多に笑わない人間であったが、時たま見せる口角を上げたその顔が、かつての俺は嫌いだった。近藤さんや俺のような、近しいものだけに見せるその眩しい笑みが苦手だった。
    だが今は違う。奴が笑う時、今の俺が感じるのは嫌悪感ではなく幸福感。奴の笑顔を見ると、胸が高鳴り、途方もなく幸せだと感じてしまうのだ。

    ーー"あの人"といる時の笑顔以外を見た時は。

    奴と"あの人"が付き合いだしたのは、もう3ヶ月も前だ。所謂両片思いだったらしい2人が付き合い始めるのに時間 2723

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