弔う香り生の香り受肉してすぐに感じたのは強烈な光、次に受肉させた夏油と真人の声、そして触れられる感触だった。150年冷たい瓶の中が全てだった自分にとって、何もかもが新鮮で強烈な刺激であった。弟達との会話も、今までは信号を送れば意思疎通ができていたから難儀であった。言葉ひとつにしても、受け取り方で意味が違ってきてしまうのだ。
何度も間違える俺に、呆れずに付き合ってくれた弟達には感謝しかない。
だんだんと感覚を理解し、不便なく身体を使えるようになった頃合いに装束を与えられた。
先に受肉した弟達が選んでくれたものに腕を通せば、肌に刺す刺激が薄れ、これが暖かい物だと知った。
「脹相ってさ、死臭がするよね」
不躾に襟巻に鼻を近づける真人に、嫌悪感を露わに手で払うが距離を詰めてくる。
1989