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    19740yk

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    浄宗。クリスマスの話。加筆修正版。

    クリスマスの話クリスマスの話

    「今日を頑張ったいい子たちにはプレゼントをあげよう」

    浄はそう言って颯と皇紀にギフトバッグを渡した。
    クリスマスの日の営業後。
    冬の一大イベントなだけあり、この一ヶ月はウィズダムは終始たくさんのお客様達で賑わっていた。
    大忙しの日を終えたとは思えないほどのテンションの高い颯は興奮した。
    「えーなになに?浄ってサンタさんなの?!」
    「...何企んでやがる」
    皇紀は疑心を隠さない表情で浄を睨む。
    「ひどいな。ただのサンタさんごっこだよ」
    浄は肩をわざとらしく竦めた。プレゼントといえば、と宗雲は今日を振り返る。
    「お客様達にも小さいプレゼントを一人一人に渡していたな」
    本当にまめな男だ。一人一人に心の負担にならない程度の金額のものを平等に、しかし個人の好みに合わせて選別して渡していた。お客様へのプレゼントを用意するのにも大変だろうに、颯や皇紀へのプレゼントも用意していたのだ。
    皇紀が渋っている間に「お前にも」と宗雲にプレゼントの入ったギフトバッグを渡した。
    「ありがたく頂こう」
    ずしりとしたバッグの重さのそれに、宗雲はプレゼントが何かを理解した。浄は俺がプレゼントを受け取ったのを見て、再度皇紀の方に向き直る。
    皇紀は渋々ギフトバッグを受け取り、渡した本人の目の前で中身を即座に開けた。その行動に浄は別に気にしていないようだった。
    「……悪くない。ちょうど買い替えを検討していた」
    皇紀の反応から見るに、どうやら刃物のメンテナンス用品を貰ったようだ。
    「えーいいじゃん!僕も見ていい?なんか袋大きくない?」
    興奮を隠しきれない颯は、「どうぞ」と浄が機嫌良さそうに頷いているのを確認し、バッグの中身を見る。
    「わ、新しいアウターだ!」
    「この間冬のアクティビティの予定があると言っていただろう。使えたらいいなと思って。まあ、使えなくても日常で着れるだろう」
    「嬉しいよありがとう!よく覚えていてくれたね!」
    颯は嬉しさが止まらないようで、思わず浄に飛びついた。飛びつかれることを想定していたのか、身動ぎすらせずに颯を受止め、ハイハイ、と軽く肩を叩く。
    「あれ、宗雲は中身見ないの?」
    「見なくてもわかる。ワインだ。あとで頂く」
    皇紀には刃物のメンテナンス用品、颯には冬のアウター、おまけに本人達が普段の会話でしていた近々必要としていたもの。本当に人の話をよく覚えているものだ。渡されたワインの銘柄は見なくてもわかってしまった。ちょうど前に浄と話していた銘柄のものだろう。

    「全員身支度は済んだようだな。最後は俺が閉めておくから、帰っていいぞ」
    「僕も浄に何か今度あげるねー!またね!」
    はしゃぎながら退室していく颯にこちらを一瞥してからその後を皇紀が続く。その後ろに続いていいはずの浄が出ていかないので、首を傾げる。
    「帰らないのか?」
    「お前を一人寂しく帰らせはしないさ。待っているよ」
    仕事の確認作業をしたくて居残る気でいた宗雲のことを見透かしたかのように、ソファに座ったまま言葉を返した。
    本人が残るというのなら気にしない。宗雲はカウンターに置いていた仕事用端末に電源を入れた。

    少しの沈黙が二人の間におりた後、端末に目向けたまま宗雲がぽつりと問いを投げた。
    「……お前はプレゼント、何が欲しい?」
    「礼は別に要らないよ。俺がサンタさんだからね」
    「お前がサンタさんでいいなら俺だってサンタさんになってもいいだろう。貰うだけでは気が済まない」
    「俺はいい子じゃないからなあ。サンタさんからはプレゼントではなくお叱りがあるのかも」
    浄は眉を下げて笑った。
    そういえば、浄はお客様達へのプレゼント選びをギリギリまでしていた為に今日遅刻してきたのだった。大事なイベント日に遅刻して出勤してくるなど、たしかに悪い子であった。だが、お客様達を少しでも喜ばせたいと思い行動していた浄は良い子でもあった。
    ふう、とため息をつき、宗雲は確認を終えた端末の電源を落とし、浄を見た。
    「遅刻についてはもう処遇を決めた後だ。サンタさんには関係ない」

    別にいいだろう、お叱りをした後にプレゼントを与えたって。
    良い子にプレゼントを与える役目のサンタクロースと、悪い子には叱って怖がらせる役目のサンタクロースがいるのなら、どっちの役目をこなしたっていいだろう。

    宗雲の言葉に浄は目を輝かせた。
    「じゃあサンタさん、ご褒美にキスが欲しいな」

    甘えた声を出す浄に、宗雲は子どもを可愛がるように頬に指を滑らせてから顔を包み込み、その唇に口付けを落とした。ひとつだけでは味気ないと思い、唇から頬、眼鏡をずらしてまぶたの上、額にひとつずつ丁寧に口付けを落としていく。
    「大盤振る舞いだね」
    浄はされるがまま、くすぐったそうに身動ぎをして笑った。
    「サンタさんだからな」
    最後にもう一度、唇に口付けを落とした。
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