Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    19740yk

    @19740yk

    BL用

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 12

    19740yk

    ☆quiet follow

    浄宗企画「恋じょうそー付」展示作品

    罰かご褒美か仮面カフェに来た俺は、エージェントと宗雲の誤字の話になった。

    あいつは本当によく打ち間違える。クラス内の連絡でも、個人的な会話でも、関係なく誤字をする。

    宗雲と恋人となった今では、誤字によって会話でのいい雰囲気を台無しにされたこともある。

     

    「宗雲さんの誤字、読み解くの面白いんですけどね。結構頻発しますよね」

    「今日はどれくらい誤字してた?」

    エージェントはスマートフォンを取り出した。宗雲との会話チャットを確認しているのだろう。

    「さっきの連絡では三回でしたね」

    「へえ、三回か……」

     

    確かに誤字は多い。

    別に直してほしいわけじゃないが、打ち間違いが減ったほうが、時間のロスは少ないだろう。

     

    そうだ、誤字をするたびに罰ゲームをしよう。

    イタズラ……いや、彼にとっては罰だ。

    どっちでもいい。とにかく、戯れをひとつ思いついた。

     

    「誤字するたびに罰ゲームね」

    「いきなり何の話だ」

     

    宗雲との逢瀬の時間。

    風呂に入った後、告げた。

     

    「打ち間違いによる誤字を一つするたびに一分だ。打ち間違い直すきっかけになるよ。エージェントとのやり取りで三回したらしいね。じゃあ、三分かな」

    「だから何を――」

     

    矢継ぎ早に言って、有無を言わさず宗雲に口付けをし、早々に舌をねじ込んだ。

     

    「っ、ん、……」

     

    驚きで逃げる舌を追い、絡め、吸ったりした。
    そうして宗雲の舌を弄んでいるうちに、三分経った。
    俺からしてみれば短い時間だが、宗雲にとっては長い時間だったろう。

     

    「はい、三分」

     

    パッと手と顔を離し、宗雲の口を解放する。
    何をされたのか理解しようと、息を整えながら考えている宗雲の様子をじっと見つめた。
    呼吸を整えた宗雲は、じろりとこちらを睨みつける。

     

    「……次は無い」

     

    キスによって赤くなった顔で言われても、怖くはなかった。

    それよりも面白いことを言う。打ち間違いばかりしている人間が、次は罰ゲームされることは無いと言ったのだ。

    つまり、もう打ち間違いによる誤字はしない、と。

     

    「へえ。頑張ってね」

    多分無理だと思うけど、なんて余計な一言はきちんと喉の奥にしまっておいた。

     

     

    「五分ね」

     

    それから、たった二日後のことだった。

    またしても、宗雲は打ち間違いによる誤字をやったのだ。

     

    「………………」

    「次は無いって言ってたのにね。残念だったね」

     

    ムスッとした不満げな頬を、すり、と撫でてからキスをした。

    今度は五分。前より二分も長くなっている。

     

    「ん、……ん、ぅ」

     

    何度も角度を変えて啄み、舌先で宗雲の唇をなぞり、そっと突き入れると、息を飲む気配がした。

    その隙を縫うように舌を押し込み、逃げようとする舌を絡め取る。

    鼻先が触れ合い、熱を帯びた吐息がこぼれる。

    だんだんと漏れる声にも熱がこもり、甘くなっていくのを、気を良くしながら、招き入れられた咥内を舌で荒らす。

     

    宗雲の背に腕を回し、引き寄せると、その体がわずかに震えた。
    呼吸が苦しそうに乱れ、宗雲の肩が上下する。
    それでも俺は舌を絡め、吸い、離さない。

     

    宗雲が耐えきれず、俺の服を弱々しく掴んだ。

    と同時に五分が経ち、口を離す。

     

    口付けをして、潤んだ目と赤く染まった頬を見ていると、たまらなくなる。

     

    「打ち間違い、減らせるといいね」

     

    減らせそうにないけれど。今度もきちんと余計な一言は言わずに。
    しかし、何回も罰ゲームをやっていれば嫌になってくるだろう。
    冷静に確認するようにもなって、少しは減るだろう。

     

     

    しかし、その後も誤字は減らなかった。

     

    「誤字、全然減らないね。もしかして、わざとやってる?」

    「わざとはやっている訳ではないが……別に直す必要も無いだろう」

     

    目を伏せて、俺がキスしやすいように顔を傾けた。
    罰ゲームなのに、むしろ望んでいるような仕草だ。
    宗雲の耳がうっすら赤くなっているのを見て確信する。

     

    「ああ、これ、宗雲には罰ゲームじゃなくて、ご褒美だったようだ」

     

    誘われるままに口付けをした。

    今度は七分。打ち間違いは増えている。

    これで本当にわざとやっているわけではないのだから、手に負えない。

    宗雲の口から時折漏れる甘い吐息に、小さく笑みをこぼした。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    👏🙏😍👍🙏👏😍❤📨💞💕💕👏☺💖💖💖👏👏🙏💖💖💖💖☺☺☺☺☺☺
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    recommended works