スタゼノ小説の序盤抜き出し部分「いいよな隊長は……。相手はゼノとは言え、恋人と一緒に過ごせるんだからな」
「だよな。羨ましい……いや、羨ましいっつーか……気まずいんだよな」
「そうそう! 人前であんなに距離近いと、こっちが見ちゃいけねぇもん見てる気になるだろ」
「頼むから、人のいないとこでやってくれっての」
……何が気まずいって、具体的に言えばこうだ。
ゼノを見かけたら、隊長は必ずすぐ傍に寄り、自然な仕草で腰に手を添える。
足場が悪いわけでもない。転ぶ理由なんてこれっぽっちもない。
支える意味なんて、あるのか?
食事の時間になれば、二人は配給場の端で向かい合い、あたり前のように食べ物を口に運び合う。
見せつけているつもりはないのだろう。だが同じ列でその光景を目にする俺たちにとっては、地獄のように気まずい時間だ。
1955