反転くんは戻りたい。「もとに戻して、ボク変だよね。どうして変だって言ってくれないの」
自由に体を動かせるようになっても、ボクをもとに戻してくれる人はいない。
「トモダチ」
トモダチになれさえすれば、きっと誰かがもとに戻してくれると信じていたのに。誰も戻してくれないどころか、「大丈夫だよ。」「変じゃないよ。」と慰めにもならないような慰めの言葉ばかりくれる。
変じゃないって言う割には声をかけた瞬間怖がる人間までいる。
だったらもとの生活の方がマシだ。感情もなく痛みもなくどんなに手荒く扱われて庭に捨てられても悲しくもないのだから。
大丈夫、なんて言わないで。
もとに戻してよ。あの子の傍に、友達の側に返して。
「もうすぐ前の景色が見えるから。」
ハロウィンが終わる何日か前に銃を持っている人間に言われた。
信じていいのか分からない。この人と話をしていると時々頭の中に流れ込んでくる、
ボクのおウチにいた時の記憶が…
『ママっ、やめてよ返してよ僕の友達なんだっ』
『あなた、自分がいくつかわかっているのお人形と遊んでいていい歳じゃないのよ』
『返して返してっ』
『いい加減にしなさいっ、こんなものっ』
トモダチっボクのトモダチっ
窓の外に投げ捨てられたボクを必死に探している。
ボクが自由に動けるようになったあの日から、ズットズット探してる。
「ああぁぁぁっ」
頭が割れるみたいに痛い。早く、早く、ハヤクハヤクハヤク···カエシテヨッ
叫んでも、ボクは何かに引っ張られるかのように新しいおウチに帰るのだ。