狐の御庭番!~工藤家、白馬家両家の若様のお命!お守り致す!「新一様のおなーりー」
ここは工藤家のお屋敷。
とても大きなお屋敷で、今まさにこのお屋敷の若様が皆の前にお顔をお出しになる……
「?新一様のおなーりー!!」
「?」
おかしい、工藤新一様、このお屋敷の若様がお顔を見せない。
「まさか…っ!」「嘘やろあいつ!」
狐の面を付けた御庭番の二人が顔を見合わせ互いに叫ぶ。
「し、新一様!お前達!また新一様を逃がしたのか!」
二人の御庭番の獣耳がびくり!とふるえ、そしてピン!とたつ…………そう、獣耳。
ワナワナと震えるこのお屋敷の重鎮。
「お前達!今すぐに新一様を城下から連れ戻せぇえ!いいな!」
ああ、またほら俺たちの責任じゃん、叱られた、怒られた。
城下―
「で、下手人は〇〇だったわけだ」
「流石新一様でございます!事件があっという間に解決してしまいました!」
「まあね」
三色団子を口に頬張り、お茶をすする。
城下で人が切りつけられる事件が起きた。
死人は出ておらず、怪我人も傷が浅く大事ではない。
だがそれを放ってはおけない。
解決した、下手人はどうやら他の町から流れて来た者らしく、捕らえた。だからこそ、団子は美味い…
「主様っ!」「新一ぃ!」「うわぁ!」
慌てて湯呑みをおさえる、危ない下へ落とすところだった!
「なんだお前らか!」
「なにがなんだ、や!!お前ええ加減にしぃ!」
耳がピクピクと動く、肌が焼けた感じの浅黒い狐。
「勘弁してよ、もー!事件にまあた首突っ込んで!」
こちらは耳の毛が逆だっている、新一様と呼ばれた男と顔がよく似ている。
「うるせぇなぁ、バーロー!俺が現場に来たらもっと早く解決出来たんだ!あんな屋敷の中に閉じこもってなんかいられるかよ!だいたいな、朝の挨拶にしろ、つまらねぇ仕事なんて俺じゃなくてもできるだろ、それこそお前達で十分!あんな屋敷によくも封じ込めやがって!今日は帰らないからな!これから奉行所の方に出向いて未解決の…」
「ふざけんな」「帰るぞ!」
「嫌だ」
狐面の二人の肩がピクピクと震え出す。
忍び装束をまとう黒服の二人、それだけ見ればただの人間のようだが違うのは頭から生えている大きなまるで狐か犬か?猫か?それを思わせる獣耳、そしてそれぞれが二本ずつ、細長いのと短めふわふわな尾。
「平次!」「おう!」
「ぎゃああああ!」
ぼん!と煙が撒かれたか、と思ったら…
そこにいるのは巨大な二匹の狐…のような?怪物?
新一様と呼ばれた男のお腹周りを優しく口に挟み、口で抱き抱えるようにして町の瓦屋根の上へ軽く飛び乗り…
「変態!この助平!服部の助平!」
「………!!………がるるる…!」
「おさえて平次!屋敷帰ったらもうちょい強く噛んでいいと思うから!」
「黒羽!お前も同罪だ!絶対許さねぇからな!」
屋敷の方へ飛びながら帰っていく二匹…。
町民にはいつもの光景だった、だが…。
この時、怪しく動く影があった。
「反省?しねぇよー今日はまぁ屋敷でのんびりしといてやるよー」
「なぁ快斗…おれ、牙がうずくんやけど、もっと強く噛んで良かったんちゃうか?」
「後で丸太でも噛んで我慢しときなよ、平次が本気出したら歯型じゃ済まないんだからさ」
新一は自室へ戻ろうとするも、重鎮につかまってしまい仕事部屋へ連行されてゆく。
「あーあ、優秀な主様、なのにねぇ」
「…まぁ、ずっとこの屋敷の中、っちゅうのはな」
黒羽快斗、と、服部平次。
千年以上いや下手したら二千年以上生きている、所謂この辺りを根城にしていた狐の妖怪。
狐、とはいうものの実際は自分達でもよくわかってはいない。見た目がそんなだからそう言ってるだけであって、何しろ長い年月生きすぎていて何故産まれたかとか、自分達がどういう存在かさえ不明なのだ。
ただ力があった。
人間に化けれるし、跳躍すれば山ひとつ軽く飛び越えられる。妖力使いで岩を持ち上げられるし、川の水も干上がらせることも出来るし、草木を枯らすことも生やすことも変幻自在。
牙はあるから噛み砕くことも簡単だし、鋭い爪で引き裂くことも容易だ。
敵なんていない、でも何故か人間達だけは何時でも敵だった。他の獣には害されることはなかったのに。
時代で変化はあった。
化け物がいたら呪われるとか、稲が枯れたから不作の元凶だとか、自分達の皮を剥いでその肉を食べたら不老不死になるだとか。
そのせいでこのあたり一帯の人間も土地も一度滅んだ。軽く五百年は草も木も生えなかったか。
とんでもない兵器のせいで滅んで、二人の妖狐は時間を使って少しずつ土地を再生していった。
それで人間がまた増えても同じこと、やはり争いは起きるし、勿論人間同士で争っていた事もあった。
それを何度繰り返したか、お互い名前だけは何故だか呼びあっていたのでそれだけは覚えていて………
などと変わらないようで変わる日々を過ごしていたら。
ある時、工藤という家と白馬という家、この両家が時代のどこかの隙間で起こり、繁栄した。
それもそれだけでいつもの事だった、どうせまた争って勝手に滅んで、もしかしたら獣の化け物の自分達を退治しにくるかも知れない、と。
「返り討ちにしてやる」
「人間なんざほんまやわくて嫌んなるなぁ」
だがそうならなかった。
この工藤と白馬という家、何代も続いてただただ優秀だった。
特にこちらに攻撃を仕掛けてくる訳でもなく、争いも起こらない。
驚いた。
だからこそ二人の妖狐は興味が湧いてしまった。
ある時人間に化けて白馬家の領内に出向いた。
「美味」「ヤバい、何これ」
食べ物は美味しかった、綺麗な石の飾りがあった。
たこ焼きというらしいし、お好み焼きとかいうやつも食べたいし。
キラキラと光る首飾り、耳飾り、髪留め…石を加工しているのか。
「不思議やな、これ食べてるとなんか懐かしゅー」
「このキラキラしてるの見てると、何故だか心がワクワクする、何でだろ?」
白馬家…こちらは工藤家とは違い、所謂城を領内の一番目立つ所に建てていた、工藤家のお屋敷はあくまで屋敷であって城とは少し違うので、妖狐二匹は城の天守閣に舞い降りた……らそこに、白馬家の時期当主白馬探が居て……。
簡単に言うならめっちゃ仲良くなった。
「ほんまにあいつ…工藤と同い年なんか」
「いやー新一も見習うべきなんだけどねー」
自分達の身分を明かしても白馬探次期当主は驚く事もなく、「すごい狐さん、というだけなのでしょう?」の言葉にこちらが面食らってしまったくらいで。
少し嫌味な言い方をするのは癪だったが、それでも妖狐二匹はこの白馬探を気に入ってしまった。
どうやら工藤家とは仲良くやっていきたいらしい。
そこで今度は工藤家にお邪魔してみた。
ただその前に白馬探にこんな事を言われたのだ。
「良かったらお二人とも、我が白馬家の守り神になっていただけませんか」と。
「あの時の誘い、なぁんで乗らなかったのかなー」
「お前、それはだからあん時に」
工藤家に向かう途中、まさかの余所者の襲撃にあった。
どの時代にもどの場所にも悪人はいる。
簡単に蹴散らすのは問題無い、簡単だ、そのはずだった。
たまたま人間の身体でいた所を襲撃されたのだ、まさかのその野盗の連中に傷を負わされた。
「黒羽!」
「うわ、血だっけこれ、何年ぶり?いや何百年ぶりかぁ」
怒りに目が燃える…妖狐の体に戻れば野盗の体なぞ一瞬で屠れる……と、思った所へ
「大丈夫か!」
工藤新一、工藤家のこちらも次期当主様。
そいつが現れたのだ、まさか何故、こんな野盗が出るような夜道に?お供もつけず、何故?
とか思っているうちにこの工藤新一と名乗った若様は人間体の黒羽快斗の救護をして、更に野盗まで捕縛した。
恐ろしいのはその武器だった。弾む球を蹴り上げ野盗達は壁や床に叩きつけられていた、あれで平気なはずは無い、気を失った野盗共はすぐさま逮捕された。下手人として裁きを受けるため、その指示も工藤新一が出した、早かった見事だった。
「助かりました、工藤新一…………様」
「やるやん」
「ん?まぁな、ん?様?へ、俺の事知ってんのか」
同じように、白馬探に披露したようにこちらも正体を明かした。
更に驚いたのはこの若様の発言だった。
「家来になれよ!お前達の事助けてやっただろ!」そして今に至る。
「なー、お前がちょいと怪我したのが始まりやねん」
「んな事言ったってさ!怪我の手当の恩返しくらいしろ、とか言うしさ!それに…まぁ」
あの時、優しかったんだ。
怪我はしたことはそりゃある。争いに巻き込まれたしこちらも牙を剥いたのだから相手も報復してくるだろう。
人間に怪我の心配をされたのは初めてだし、処置も丁寧だった。
だからむず痒いような、なんだか不思議な気持ちに。
「おかしーよなー俺らすげー長生きしてて、なぁんであの時ただの人間に絆されちゃったんだろ」
「ま、家来になるっちゅうのは俺の口から出た言葉やったけどなーちゅうか家来やのうて!白馬探みたいに守り神やったらええで!かっこええやろ、とか俺がほざいとったら、それを逆手にとられたっちゅーか」
「口車に乗せるの上手いよね、新一サマはさー」
「まー白馬もそこは上手いんやけど、なんちゅうか白馬の方はこう、キラキラしとるっちゅーか…あーなんや白馬の方の美味い飯、懐かしーな、今夜飛ぶか?」
「久しぶりに遊びに行こっか!新一サマも連れて…って訳にいかないかーあーあ、主様、今日から当分缶詰でしょ」
「まぁオレらが連れ出したら別に問題無いんやけどなー」
そこに忍び寄る悪人、黒の組織!
ここら辺から下はもう適当(笑)
書きたいとこだけ書く
「齢、17か」
「そだね、俺らにとっちゃ息の吸って、吐いて、それくらいの一瞬だよね」
それでも、白馬探も工藤新一も。
いつか、いずれ歳を重ねていなくなる。
何回も見てきた事だ。
「遊ぶならやっぱり今のうちやな!」
「85くらいまで生きるとしたって、自由に動ける内が華だもの、確かに新一サマこんな屋敷の中じゃつまらないよなー」
「ほな行こか!」
「もう牙は疼かない?新一サマ噛みたくなってない?」
「アホ!そんなに言うなら今度はお前の背中にでも乗せたれ!」
白馬領内へ向かう妖狐二匹と工藤家若様~
なんと!白馬家領内ではある事件が!
「え…●し?城下で●人が?」
「工藤家領内でも人斬りがあったと聞きました…下手人は余所者だったのでしょう?」
「情報早!どこでその話を」
「白馬探を甘く見ないでもらいたいですね」
「うわぁ、自分めっちゃできる男風に語るやん、はいはいかっこえー」
とうとう起きてしまった事件、そして……!
『その狐の化け物二匹、大人しく渡してもらいたい』
「ふざけんな!こいつらは俺の家来なんだよ!」
「友人だと思っています、だから家来と言う言葉も嫌いではありますが……化け物なんて言葉で彼らを傷つける、『あなた』は絶対に許さない!」
(なんか大怪我してる二匹の狐)
「白馬…っ」「新一…!」
能力を封じ込められて捕らえられる二匹の狐!
「くそ、やっぱり人間なんて!」
「ハナからこんな所来ない方が正解やったんかな」
とかなんとか、果たして二匹の狐の運命は?
工藤新一様と白馬探様の選択は?!
NAR●TOみたいなアベ●ジャーズみたいな展開!
続く!
続きは貴方の脳内でよろしくお願い申し上げますー