「成長痛それとも永遠の痛み」summary:ほんの少しの愛と別れの兆しについて。
#1
指摘されて初めて、夏美は自分がずいぶん背が伸びたことに気づいた。
冬樹がここ数年で急に伸びたせいか、彼に背を越されてからは、少し比べてみては「まあ、パパの背はあなたに譲ったみたいね」とため息をつくだけだった。あるいは女物の服のサイズがまちまちで、クローゼットにさまざまなサイズが混在しているせいで、変化に気づきにくかったのかもしれない。あるいは、あのカエルたちのせいだろう。彼らは毎年変わらない。だから、時の流れを忘れがちだった。
今ではママとでも、頭半分ほどの差しかない—— 実はママに抱きついた時に、こっそり比べてみてわかったことだ。
……じゃあ、この前の夜中に痛くて目が覚めたのは、いわゆる「成長痛」だったのか? 夏美はひざを軽くさすった。その鈍い痛みはもう消えていた。でも、またいつか夜中に訪れるだろう。バカカエルたちの侵略みたいに、不意をついて。
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