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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    チェズモク800字(いつもより字数オーバー気味)。珍しく二日酔いのモクさん。

    #チェズモク
    chesmok
    ##BOND

    ■二日酔いの朝


     朝、モクマはベッドから身を起こしてずきずき痛む頭を抱える。二日酔いなんて酒を飲み始めた年の頃以来経験していない。だが、昨夜はチェズレイが隣でお酌なんてしてくれたから嬉しくなって、ちょっとばかり飲みすぎた気がする。それ以降の記憶がない。
     ふいに部屋のドアをノックする音が聞こえた。チェズレイの声が「朝ごはんが出来ましたよ」と告げる。モクマは返事をして部屋を出ると洗面所へ向かう。冷たい水で顔を洗うと少しさっぱりした気がして、そのままダイニングへ。
     おはようと挨拶をすればチェズレイが鮮やかに微笑む。味噌汁のいい匂いがする――と思ったのは一瞬で、吐気をかすかに覚えた。
     ――あ、これ完全に二日酔いだわ。
     典型的な症状。食べ物の匂いがすると胃のあたりが気持ち悪くなる。頭痛もぶり返し始めた。だがチェズレイがご飯をよそってくれているのを見ると、どうにも言えない。
     朝ごはんはやっぱり白米がいいな、なんて冗談半分で言ったら、その日のうちに炊飯器を取り寄せて味噌汁の作り方までマスターしてしまうのがこのチェズレイという男だ。そこまで想ってもらえるのは嬉しいが、時々、ほんの少しだけ怖くなることがある。
     目の前に湯気を立てる白米と味噌汁が出された。鮭は皮目がぱりっと焼けている。モクマはなんでもない風を装って椅子に座ると箸を手に取った。
     そこでチェズレイのため息が落ちた。
    「モクマさん。あなた体調悪いでしょう」
    「え? そんなことないよ」
     とっさに出てくるのは嘘と笑顔。いつもこうやって誤魔化してきたから、簡単には変えられない。
    「嘘を言わないでください。昨夜あなたは私が仕事の電話をしている隙に酔い潰れていた。私はそんなあなたを部屋まで運んだんですからね」
    「えっ、そりゃ悪いことさせちゃったね。ごめんね?」
    「私が怒っているのはそこではありません。どうして体調が悪いなら悪いで一言言ってくれないんです」
    「――それは、あの」
     うまく言葉が出てこない。チェズレイの美貌が憂いで陰る。
     ――これじゃあ朝飯が冷めちまうな、なんてモクマは頭の隅で考えていた。
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    高間晴

    DOODLEチェズモク800字。眠れない夜もある。■インソムニア


     同じベッドの中、モクマはチェズレイの隣で寝返りをうつ。
    「眠れないんですか?」
    「なんか寝付きが悪くてな。……寝酒でもするか」
     起き上がろうとしたモクマの肩を押し止める。薄暗がりの中でプラチナブロンドが揺らめいた。
    「寝酒は体によくありません。それだったら私が催眠をかけて差し上げます」
    「えっ」
     モクマは少しぎょっとする。これまで見てきたチェズレイの催眠といえば、空恐ろしいものばかりだったのだから。するとそれを見透かしたようにアメジストの瞳が瞬いて眉尻が下がる。今にも涙がこぼれ落ちてきそうだ。――モクマはこの顔にたいそう弱かった。
    「モクマさん……私があなたに害のある催眠をかけるとでも?」
    「い、いやそんなこと思っちゃおらんけど……」
     言われてみれば確かにそうだ。この男が自分にそんなことをするはずがない。
     しなやかな手によって再びベッドに背を預け、モクマは隣に横たわるチェズレイと目を合わせた。
    「目を閉じて、ゆっくり呼吸してください。体の力を抜いて」
     穏やかな声に、言われるとおりにモクマは従う。
    「想像してください。あなたは果てのない広い草原にいます。そ 854