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    高間晴

    @hal483

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    高間晴

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    花たま家族。スーさんの口調が迷子なのは許してください…

    ##APH
    #APH腐向け
    forAphRot

    ガムテープ「パパー! これ取ってくださいですよー!」
     帰宅したベールヴァルドに泣きついてきたのは、ガムテープを服や髪にくっつけたピーターだった。何事かと思いつつ半べそ状態の子供を抱き上げてやると、奥からティノが顔を出した。
    「す、スーさん、おかえりなさい……」
     ばつが悪そうにしている彼の髪にも貼り付いたガムテープを見て、ベールヴァルドは小さくため息をついた。
    「……なじょした?」

     ベールヴァルドはリビングのソファでピーターを膝に乗せ、服にくっついたガムテープを剥がしてやりながら、何があったのかを聞いた。
    「パパに作ってもらったロボスーツで遊んでたら、腕のとこが壊れちゃったですよ」
     ピーターが指さすのは、リビングの床に鎮座したダンボール製のロボットスーツ。先週の日曜にベールヴァルドがピーターの体に合わせて作ってやったものなのだが、今は右腕の関節のところがひしゃげてしまっている。
    「それで僕も一緒に直そうとしたんですけど、どうにもうまくいかなくて……
     で、気が付いたら……」
    「二人して自分にテープねっばしちまってたのか」
    「……はい。
     ……ガムテープってかなりあっちこっちくっつくもんなんですね……」
     ティノは途方に暮れた様子でため息をつく。なんでこんなに不器用なんだろうかと、ちょっと自分がいやになる。
     そんなティノと比べて、ベールヴァルドはとても器用だった。あの大きくていかにも無骨な手は、家事や料理から日曜大工まで難なくこなすし、もちろん見た目通りに力も強い。そんな彼にティノは同じ男として劣等感を抱かずにはいられないのだけれど、いつからかそれ以上に憧れやいとしさの方が強くなっていた。
    「ティノは役に立たないですよ」
    「そげなあくたれ言うもんでね」
     叱られたピーターは唇をとがらせたが、すぐに小さな声で「ごめんなさい」と謝った。
     まるで本当の親子のような二人に、ティノの口元が知らずほころぶ。
    「――あと、“ティノ”じゃなくて“ママ”だべ?」
    「おっひゃあああ! ちょっ、スーさん! ピーター君が本気にしたらどうするんですか!」
     反射的に奇声を上げると、ピーターが声を立てて笑う。当のベールヴァルドは相変わらず何がおかしいのかさえ分からない様子で首を傾げている。
     長い間一緒に暮らしてきて、“女房”扱いされるのにはいい加減慣れたし、さして嫌だとも思わなくなった。だが、ベールヴァルドが“パパ”である以上、自分が“ママ”と呼ばれるのは、なんというか、まずいと思うのだ。
    「そ、それよりも、髪の毛にくっついたの取れますか? やっぱり、切っちゃうしかないですか?」
     ティノが困っているのはそれだった。服や肌のは簡単に剥がせたが、髪だけはどうにもならなかった。さっきも切るしかないだろうとハサミを探し始めたところに、ちょうどベールヴァルドが帰ってきたのだ。
     ベールヴァルドはピーターの髪に強情にくっついたテープを指先で引っ張ってみたが、ピーターに痛いと抗議されて、すぐに手を離す。
    「さすけね。うるかしたら取れる」
     そう言ってベールヴァルドはピーターを抱き上げ、ソファから立ち上がった。
    「え? 水で取れるんですか?」
    「んだ。風呂湧いてっか」
    「あ、はい。どうぞ二人で先に……」
     ほっと胸を撫で下ろすティノだが、次の瞬間ベールヴァルドに腕を掴まれて顔をこわばらせた。
    「スーさん……?」
    「おめも一緒に来」
     ずい、とベールヴァルドの顔が眼前に迫ってきて、ティノの喉からは悲鳴に似た声が漏れる。顔を近づけるのも、目付きが悪いのも、視力の悪い彼の癖だと分かっている。だが、怖いものは怖い。
    「いや、あの、僕は後でいいですから!」
    「遠慮すんな。いいがら、来」
     ベールヴァルドは片手にピーターを抱きかかえ、もう片手で抵抗するティノを引っ張りながらバスルームへと向かう。おそらく現在の彼の頭は、家族水入らずで風呂、という一家のお父さん的ドリームでいっぱいなのだろう。
    「往生際が悪いのですよ、マーマ」
     ピーターがことさら子供っぽくそう呼んでみせると、今度こそティノの絶叫が家じゅうに響き渡った。
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    高間晴

    DOODLEチェズモク800字。眠れない夜もある。■インソムニア


     同じベッドの中、モクマはチェズレイの隣で寝返りをうつ。
    「眠れないんですか?」
    「なんか寝付きが悪くてな。……寝酒でもするか」
     起き上がろうとしたモクマの肩を押し止める。薄暗がりの中でプラチナブロンドが揺らめいた。
    「寝酒は体によくありません。それだったら私が催眠をかけて差し上げます」
    「えっ」
     モクマは少しぎょっとする。これまで見てきたチェズレイの催眠といえば、空恐ろしいものばかりだったのだから。するとそれを見透かしたようにアメジストの瞳が瞬いて眉尻が下がる。今にも涙がこぼれ落ちてきそうだ。――モクマはこの顔にたいそう弱かった。
    「モクマさん……私があなたに害のある催眠をかけるとでも?」
    「い、いやそんなこと思っちゃおらんけど……」
     言われてみれば確かにそうだ。この男が自分にそんなことをするはずがない。
     しなやかな手によって再びベッドに背を預け、モクマは隣に横たわるチェズレイと目を合わせた。
    「目を閉じて、ゆっくり呼吸してください。体の力を抜いて」
     穏やかな声に、言われるとおりにモクマは従う。
    「想像してください。あなたは果てのない広い草原にいます。そ 854

    ▶︎古井◀︎

    DONE春の陽気に大洗濯をするチェズモクのはなし
    お題は「幸せな二人」でした!
    「そろそろカーテンを洗って取り替えたいのですが」
     朝。さわやかな陽光が差し込むキッチンで、モクマはかぶりつこうとしたエッグトーストを傾けたまま、相棒の言葉に動きを止めた。
     パンの上で仲良く重なっていた目玉焼きとベーコンが、傾いたままで不均等にかかった重力に負けてずり落ちて、ぺしゃりと皿に落下する。
    「モクマさァん……」
     対面に座っていたチェズレイが、コーヒーカップを片手に、じっとりとした眼差しだけでモクマの行儀の悪さを咎めた。ごめんて。わざとじゃないんだって。
     普段、チェズレイは共用物の洗濯をほとんど一手に担っていた。彼が言い出しそうな頃合いを見計らっては、毎回モクマも参加表明してみるのだが、そのたびに「結構です」の意をたっぷり含んだ極上の笑みだけを返され、すごすごと引き下がってきたのだった。しかし今回は、珍しくもチェズレイ自ら、モクマに話題を振ってきている。
    「それって、お誘いってことでいいの?」
     落下した哀れなベーコンエッグをトーストに乗せなおしてやりながら、モクマは問う。相棒が求めるほどのマメさや几帳面さがないだけで、本来モクマは家事が嫌いではないのだ。
    「ええ。流石に 3560