薄暗く無機質で冷たい空間で部屋を満たす。この部屋にいる人間はみな感情はいらない。なぜなら今から死ぬ人間に情けなどいらないからだ。
これが処刑執行の”いつも”の風景だ。
「………。」
吉村はこの光景を少ない数ではあるが何度か見てきている。しかし、これに慣れる人間がいたとしても大抵ろくな性格を持っていないであろう……。普通の人間なら当然の考え方だ。だが稀に全く対照的な意見を持つ者がいる。
そう頭の中考えているうちに時が経ち、いつの間にか誰かが放った冷たい銃声が部屋で静かにこだました。
吉村の経験上1度だけこの光景を見ないですんだ事がある。それは大道寺にしては珍しい”賭け”であり、この賭けは見事にこちらの勝ちであった。最初この話を主任から聞いた時、反吐の出る話だと思った。何故、情の要らないこんな場所でそんなことをしなければならないのか…と。それに死ぬ相手は吉村に対して反抗的な人間であったため余計に不満だった。しかし、振り返ってみると正解だったのだろう。目を離せないほど危険だが、大道寺には必要な人材を確保出来たからだ。
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