【桐智】ハンドクリームにまつわる話「ほい、要くん」
「え、」
寮の自室でノートに向かっていた圭が、いきなりぽいと目の前に置かれたのは、ハンドクリームだった。化粧品の部類には詳しくない圭だが、その圭が見てもドラッグストアなどで売っているハンドクリームとは装いが違うことがわかる。
「なんですか?ハンドクリーム?」
「気付いとる?手ぇカサカサなっとるで?」
「え?」
桐島にそう言われ、シャーペンを握る自分の手をふと見てみると、たしかに関節のあたりがカサカサとしている。
「あ……」
「キャッチャーも手ぇは大切やろ〜?ちゃんとケアせんとなぁ、それ塗っとき」
「……じ、自分のやつがありますから、大丈夫です」
「なんやつまらんなぁ、こういうときはありがとうございますぅ♡って塗ったらええねん、ほら手ェかして」
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