都内の居酒屋。その個室の掘り炬燵の席で、圭は秋斗と二人、ゆるりとくつろいでいた。
秋斗と飲むのはよくあるが、こんなにだらりとした空気になるのは珍しい。緊張感があるわけではないが、酒が入ったからといってくだを巻くことは秋斗も圭もない。ほどよく酒を飲みながら、楽しむ会話。しかも秋斗はザルなのか、いくら酔っても顔を赤らめることもない。
しかし今日はどうだ。テーブルに置かれた日本酒の入った徳利は本日二本目だが、一本目も含めて圭と分けて飲んでいる。秋斗と同じ大学野球部に所属していた圭は、秋斗がかなりやんちゃな飲み方ができるのも知っている。それに比べたら、本日の飲酒量は大変ささやかだ。だというのに、秋斗の顔にはすでに朱が差している。
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