世界でいちばん美しい復讐親族や親友たちとの式前の交流や写真撮影を終え、騒がしかったブライズルームには静かな空気が流れていた。
私は椅子に腰を掛けているが、彼は少し離れたところで壁に寄りかかりながら腕を組んでいる。
ツナさんがボスに就任する際に購入し、それからずっと大切にしているツナさんと山本さんと三人お揃いの腕時計を身につけていないからか、壁に掛かっているアンティーク調の時計を見る為に何度も顔と視線を上げ下げする。その普段と異なる状況が落ち着かない、といった様子が面白くて仕方がない。緊張しているのだろう、この人も。
さて、そろそろアレの出番かな、と思ったところで、彼の名前を呼ぶ。
「獄寺さん、獄寺さん」
「何」
「鞄、ハルのその鞄取ってください」
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